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事業承継 時期後ろ倒しを懸念 コロナ禍の影響長期化

コロナ禍の影響による売上増減率と事業承継時期変更(後ろ倒し)

日本商工会議所はこのほど、「事業承継と事業再編・統合の実態に関するアンケート」の調査結果を取りまとめ、発表した。

事業承継の現状とコロナ禍の影響については、後継者は「経営者年齢が60歳以上の企業」で約半数が決定済みという結果となった。一方、後継者不在企業は約2割を占める。60歳を一つの節目に後継者を決めることが多いと推察される。

同族経営が多数を占める中小企業において、親族内承継が約8割を占めている。一方、親族外承継が徐々に増加しており、2000年代は約1割、10年以降では約2割となっている。

事業承継の時期に関して、コロナ禍の影響により売り上げが減少している企業ほど、事業承継予定時期を後ろ倒しにする傾向がある。今後、コロナ禍の影響が長期化した場合、事業承継が遅れる企業の増加が懸念される。

経営者の在任期間別の利益状況では、「社長就任後10年未満の企業」の約6割は直近期黒字となっている。一方、「社長就任後30年以上の企業」はコロナ禍を受けて赤字を見込む割合が最も大きい。中小企業は、事業承継を通じて経営を活性化することで、業績向上や環境変化に対応しており、コロナ禍からの経済の再生に向けて事業承継の促進が一層重要となる。

事業承継の課題については、「後継者への株式譲渡」が最も多く、約3割を占める。後継者へ株式譲渡を行う際の障害は、「譲渡の際の相続税・贈与税が高い」が約7割、「後継者に株式買取資金がない」が約6割。税制面および資金面がボトルネックとなっている。

事業承継税制については、平成30年度税制改正を受け、事業承継税制の利用者数が増加する中、相当程度の税負担が生じる企業(自社株式評価額1億円超)では、約半数が事業承継税制を利用(検討・準備中を含む)している。

事業再編・統合(M&A)については、「過去に買収を実施・検討した企業」は全体では約15%だが、「売上高10億円超の企業」に絞ると、「買収を実施・検討した企業」は約4割を占める。地域の中核的な中小企業においてM&Aが活性化している。

買収先は、後継者難が深刻化している小規模企業(従業員20人以下)が約7割を占めており、M&Aが後継者不在企業の事業継続の受け皿となっている。

買収目的は、「売り上げ・市場シェアの拡大」が約7割、続いて「事業エリアの拡大」が約4割。買収目的・期待効果の達成度は、「概ね達成した」が約半数を占めており、中小企業の事業拡大にM&Aが活用されている。

コロナ禍に伴う買収戦略の変化については、「積極的に買収」が約1割、「コロナ前後で変化なし」が約6割を占めている。コロナ禍でも買収に前向きな姿勢を維持している。

調査期間は2020年8月17日~9月25日。各地商工会議所管内の会員企業に郵便・手渡しにより調査票を送付し、FAX・郵送・Webにより4140社から回答を得た。