政府はこのほど、夏季の省エネルギーを推進する「夏季の省エネルギーの取組について」を決定し、公表した。毎年、夏と冬の省エネキャンペーン期間に、政府、地方公共団体、事業者、国民などに対応を促すとともに、一体となった取り組みを呼び掛けているもの。今年の取り組みの概要は次の通り。
夏季の省エネルギーの取組について(抜粋)
Ⅰ 国民一人一人の理解と行動変容の促進
政府では、国民の理解と行動変容の促進に向けた取り組みを強化。家庭・業務部門などに対して省エネルギーに関する情報提供を行い、具体的な行動に結び付けていく取り組みを推進する。
具体的には、家電製品の省エネ性能カタログによる情報発信やWEBシステム「省エネ製品買換ナビゲーション『しんきゅうさん』」の活用による省エネルギー・脱炭素社会の構築に貢献する製品への買い換え促進、省エネルギー月間の広報など、産業、業務、家庭、運輸の各部門で、きめ細かな情報提供、普及啓発活動などを実施。新築住宅のZEH化・既存住宅の断熱リフォームと省エネ家電への買い換えを促進する。
また、各家庭のライフスタイルに合わせた省エネルギー、省CO2対策を提案し、効果的な対策に結び付ける「家庭エコ診断」による認知度向上や、「COOL CHOICE」による具体的な行動変容を促進。旧式の製品などから省エネルギー・脱炭素社会の構築に貢献する製品などへの切り替えや、クールビズ実施率の向上などを進めていく。
移動の脱炭素化に向けては、省エネに資する電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)または燃料電池自動車(FCV)と再生可能エネルギー電力を組み合わせた「ゼロカーボン・ドライブ」を呼び掛けるとともに、その実践を後押しする。
Ⅱ 産業界、地方公共団体、NPOなどに対する周知及び協力要請
産業界、地方公共団体などに対しては、「住宅・ビル」「工場・事業場」「運輸」におけるそれぞれの省エネの対応を示し、周知と協力を要請する。
住宅・ビルの新築、改修に当たっては、「建築物省エネ法」を踏まえた対応を求め、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)をはじめとする省エネ性能の高い住宅・ビルなどの新築や断熱改修などの省エネ改修を推進。住宅・ビルの販売、賃貸を行う事業者には、省エネ性能表示のガイドラインに基づき、エネルギー消費性能を表示するよう努めることを求める。
また、省エネ法に基づき、エネルギー消費効率の高い機器の選択・購入を要請。冷蔵庫、照明、テレビ、冷房などの機器の効率的な使用を呼び掛ける。
工事・事業場では、管理体制の整備、責任者の配置、取り組み方針の策定を通じた省エネルギーを推進するとともに、省エネ法に基づくエネルギー管理の実施を要請。2030年に向けた産業界の自主的取り組みである低炭素社会実行計画の策定事業者に、その実現を求めるとともに、未策定の事業者にも計画の早期策定を促す。
運輸関係では、運輸分野における省エネ法に基づくエネルギー管理の実施に向け、旅客輸送事業者、貨物輸送事業者、荷主のそれぞれの関係者に取り組み方針の策定を要請。また、「公共交通機関の利用促進」「エネルギー消費効率のよい輸送機関の選択」「エコドライブの実践」を推進する。
そのほか、エネルギーマネジメントシステム規格ISO50001の導入検討や省エネルギーに資する事業活動の合理化および従業員などの意識向上なども求めている。
Ⅲ 政府としての取り組み
政府は、自らが率先して一層の省エネルギーを進める。空調設備の適正運転、クールビズの励行、LED照明の積極導入、照明の点灯時間縮減、エネルギー消費の少ない機器への買い換え促進などを実施。次世代自動車の導入促進、公用車の効率的利用と自転車の積極利用を推進するとともに、グリーン購入法の基本方針に基づき、可能な限り電動車などの調達も進める。環境負荷の低減に配慮した庁舎の整備や庁舎の省エネ診断の実施に基づいた運用改善を図る。
さらに、省エネルギーの普及と教育の充実、省エネルギー型ライフスタイルの定着に向けた活動も強化する。
詳細は、https://www.meti.go.jp/press/2021/05/20210528003/20210528003-3.pdfを参照。
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