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「下町育ちの再建王」の経営指南 八風吹不動(はっぷうふけどもどうぜず) ~すべての中心は自分にあり~

これは、禅宗の教えの一つです。競馬の武豊騎手が人生訓とする言葉として挙げているので、ご存知の方も多いと思います。

『八風吹不動』の八風とは「利、誉、称、楽、衰、毀(やぶれ)、譏(そしり)、苦」の八つ風のことで、最初の四つは嬉しいこと(四順)、後の四つは嫌なこと(四違)です。人から称賛、誹謗(ひぼう)中傷されることを風と呼ぶ場合もあり、同様に、会社の隆盛や倒産、疾病のような事象も、風と呼ぶ場合もあるでしょう。

この言葉の後には、『天辺月(てっぺんのつき)』と続きます。『八風吹不動 天辺月』の意味は、生きている以上、さまざまな風が吹くが、どんな風にも動じない天空の月のような不動心を養うことが肝要だ、という意味です。

私は、不動心とは動かないということではなくて、多少揺れても元の位置に戻ることができればいい、と受け取っています。人は時にいろいろな誹謗中傷に遭います。そのとき、多少揺らいだり、改善したりするくらいのゆとりを持った方が強いのではないでしょうか。自分の信念をしっかり持ってさえいれば、八風吹いても、変わらずにいることができるはずです。

この言葉について、師である舩井幸雄氏からもう一つ貴重な教えを受けました。大事なのは、「八風が吹くのはなぜかを考える」、ということなのです。“波動の原理”という教えがあります。言い換えれば“鏡の原理”。もし自分が「この人苦手だな」とか「嫌いだな」と思ったら、相手にその波動が伝わり、必ず同じようなイメージを抱かれます。全ては自分から発したエネルギーなのだ! という考え方です。

八風のほとんどは、自分が中心になって発した風が、何かにぶつかって反ってきている場合が多いのです。良い風は吹かせた方が良いに決まっていますが、良くない風を吹かせないようにするのは、日ごろの自分の姿勢で決まります。

うまくいっているときに、つい有頂天になり努力の姿勢を忘れていると、数年後に時流が変わって売り上げが激減したとか、夫婦喧嘩(げんか)の多い商店には良い社員が定着しないとか、天災後に必死で働いて数年たったら以前より良い経営者になっていたとか、世の中の出来事の八風には、自らの姿勢、すなわち“波動の原理”を感じずにいられません。

あなたの言動が人を動かして、喜んだり、すねたり、ねたんだり、去っていったり、集まってきたりする。その結果が企業の繁栄や衰退というわけです。八風吹不動│。この言葉を胸に、自ら発信するエネルギーを整えたいものです。

小山 政彦(こやま・まさひこ) 株式会社 風土 代表取締役会長 (前 船井総合研究所 代表取締役会長) 1947年、東京生まれ。開成高校卒。早稲田大学理工学部数学科卒業後、実家のディスカウントストア経営に携わる。84年、船井総合研究所に入社。6年後には売り上げ3億円のNo.1コンサルタントになる。2000年の社長就任後は大証2部から東証1部上場、離職率20%台を6%までに改善、賞与支給No.1企業など経営者としても手腕を振るう。10年には代表取締役会長に就任。13年3月をもって退任し、現在は㈱風土代表取締役会長を務める。著書に『ベタ惚れさせるマネージメント』(講談社)、『9割の会社は人材育成で決まる!』(中経出版)など多数

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小山政彦

私の師である株式会社船井総合研究所の創業者・舩井幸雄氏から学んだ言葉の一つに“波動の原理”があります。今回はこのことについて話していきたいと思います。今から15年ほど前…

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私は昭和59(1984)年に船井総研に入社し、当時の社長・舩井幸雄氏から多くの事を学びました。講演や書籍で、ご存知の方も多いのではないでしょうか。やさしい言葉で要点を突い…

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