日本商工会議所は4日、同日発足した岸田新内閣への要望書「岸田内閣に望む」を取りまとめ、公表した。要望書は、ポストコロナに向けた中小企業の生産性向上や付加価値創出への挑戦を強力に後押しし、成長による分配の好循環を実現していくことなどを求める内容。岸田文雄内閣総理大臣をはじめ、関係閣僚、国会議員、政府関係者などに提出し、要望の実現を働き掛ける。
日商の三村明夫会頭、9月29日に岸田総理大臣が自由民主党の総裁に就任した際に、岸田新総裁の政策手腕に期待を寄せるコメントを発表。今回の要望書では、政策の実現に向けて、「力強いリーダーシップと実行力の発揮を期待したい」と新内閣にエールを送っている。
要望書は、コロナ禍で困窮する事業者への重点支援と中小企業の自己変革の推進、社会経済活動の正常化に向けた「出口戦略」の早期提示と推進、国全体のレジリエンス強化に資する成長戦略と基盤整備などを求める内容。特に、困窮する事業者への支援に関しては、資金繰りなどの金融支援や一般財源投入による雇用調整助成金特例措置の継続に加えて、国・自治体による事業規模や売り上げ減少などを踏まえた協力金や支援金の迅速な執行などを要望している。また、コロナ禍の経済状況や企業経営実態を踏まえた最低賃金の審議の在り方の見直しとともに、最低賃金大幅引き上げによる中小企業への負担軽減策の必要性も訴えた。
ポストコロナに向けた中小企業の自己変革の推進の必要性も強調。中小企業のデジタル化による生産性向上やビジネス変革などへの挑戦を後押しするため、事業再構築補助金やIT導入補助金などの拡充も求めた。また、サプライチェーン全体での付加価値創出と取引適正化を進めるためには、「パートナーシップ構築宣言」のさらなる周知と普及を推進し、成長による分配の好循環を実現することが重要としている
「岸田内閣に望む」(主な要望項目) 日本商工会議所 2021年10月4日
1.コロナ禍で困窮する事業者への重点支援と、中小企業の自己変革の推進
(1) 困窮する事業者への重点支援と、需要・消費喚起による売上確保
(2) 中小企業の自己変革の推進
2.社会経済活動の正常化に向けた出口戦略の早期提示と推進
3.国全体のレジリエンス強化に資する成長戦略と基盤整備