政府は10月26日、「新しい資本主義実現会議」の初会合を開催した。会合では、これまでの取り組みや新たな構造的課題を踏まえてわが国が目指す新しい資本主義の姿についての論点などを提示。「成長と分配の好循環」「コロナ後の新しい社会の開拓」を実現するための具体的方策などに関する議論を開始した。
会合に出席した岸田首相は、デジタル新技術やクリーンエネルギー技術の実装、科学技術立国の推進、強靱(きょうじん)なサプライチェーン構築など岸田内閣が最優先で取り組む課題について、11月上旬にも緊急提言案を取りまとめるよう指示。「あらゆる政策を総動員する必要がある」との考えを示した。
日本商工会議所の三村明夫会頭は、経済成長と分配の好循環のためには、「国の再分配政策と企業経営者の経営フィロソフィーが肝要」と指摘。成長不足により、成長と分配の好循環が成立していない現状から脱するために「1人当たりGDPを国家目標に設定し、これに向かって突き進むべき」と提案した。
また、雇用の70%を担い労働分配率が極めて高い中小企業の立場から「分配増加のためには付加価値の拡大がどうしても必要」と強調。そのためには、「デジタル化などによる生産性向上、付加価値を高める商品開発、および取引価格の適正化が必要」と述べ、取引適正化に向けては、「パートナーシップ構築宣言運動」のさらなる推進が必要との考えを示した。
さらに、コロナ以前から消費性向が低下し、貯蓄性向が増加している点に触れ、「賃金増が消費に十分回っていない」と指摘。「社会保障の持続可能性への不安、成長しない日本経済への不安などの将来不安がその主因」との考えを示し、「社会保障の一体改革、少子化対策の徹底などが論点になる」と述べた。また、コロナ禍で地方分散の機運が高まっていることから、「地方創生の議論もぜひ取り上げてほしい」と要望している。
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