日本・東京商工会議所は3月17日、「知的財産政策に関する意見書」を取りまとめ、政府の知的財産戦略本部や特許庁など関係各方面に提出した。意見書では、中小企業のニーズや実態を踏まえ、知財政策について、目指すべき方向性と望まれる施策を提示。「知的財産推進計画2022」など政府の施策に商工会議所の考え方を反映させるため、要望事項の実現を働き掛けていく。
基本的な考え方として、知財などの無形資産を最大限活用して成長につなげられる国際競争力の高いビジネス環境の整備を急ぎ、産学官金が一体となって、あらゆる分野の生産性を向上させ、0%台で停滞する潜在成長率の底上げを図ることが極めて重要との見方を提示。昨年12月に政府が公表した「中小企業・スタートアップの知財活用アクションプラン」の活用推進、取引適正化への取り組みの支援、また、経済安全保障の観点から、産業界への影響に十分配慮しつつ、日本で生み出された知財保護への対応なども求めている。
具体的には、「中小企業・スタートアップにおける知的財産の創造と活用」に向け、支援体制・支援ネットワークの強化、知財金融の推進・研究開発促進に向けた税制などの制度措置、デジタル化推進などによる特許行政の効率化などを要望。「知的財産の保護と取引適正化」に向けては、経済安全保障の観点から、営業秘密や技術流出対策、特許非公開制度など、産業界への影響に十分に配慮すること、知財取引の適正化の観点から、「パートナーシップ構築宣言」の内容深化などを求めている。
「地方創生を推進する知財活用」として、地域団体商標の取得・活用の促進、知財教育の全国的な展開と人材育成の推進、民間が取り組む知財教育活動への支援とともに、大学などの特許開放を通じた産学連携などの支援の必要性を強調。「知財紛争処理能力の強化」に向けては、特許権者の金銭的救済制度の充実、証拠収集手続きのさらなる強化、訴訟における手続き・手数料の負担軽減などを求めている。
「知的財産政策に関する意見」(主な要望事項)
Ⅰ.中小企業・スタートアップにおける知的財産の創造と活用
・ 支援体制・支援ネットワークの強化
・ 知財金融の推進・研究開発促進に向けた税制などの制度措置
・ デジタル化推進などによる特許行政の効率化
・ 国際競争力強化・海外展開
Ⅱ.知的財産の保護と取引適正化
・ 経済安全保障(国内企業の技術流出対策、国際裁判管轄・準拠法の明確化など)
・ 知財取引の適正化(「パートナーシップ構築宣言」の内容深化など)
Ⅲ.地方創生を推進する知財活用
・ 地域団体商標の取得・活用の促進
・ 知財教育の全国的な展開と人材育成の推進、民間が取り組む知財教育活動への支援
・ 第2次地域知財活性化行動計画の着実な達成、第3次地域知財活性化行動計画に向けた検討
・ 大学などの特許開放を通じた産学連携などの支援
Ⅳ.知財紛争処理能力の強化
・ 特許権者の金銭的救済制度の充実
・ 証拠収集手続きのさらなる強化
・ 訴訟における手続き・手数料の負担軽減
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