日本商工会議所はこのほど、都内で公正取引委員会幹部と中小企業の取引環境などについて意見交換会を開催した。日商側は、大久保秀夫特別顧問(中小企業経営専門共同委員長)、大島博特別顧問、石田徹専務理事ら10人、公正取引委員会側は古谷一之委員長、菅久修一事務総長ら7人が出席。中小企業を取り巻く現状と課題などについて話し合った。
日商側からは、仕入価格や燃料価格の高騰、人件費などのコストが増加している中小企業の多くが価格転嫁できていない現状を指摘。中小企業の新たな付加価値創出のためには、コストをサプライチェーン全体でシェアしていくことが不可欠との考えを示した。
取引環境の改善に向けては、「公正な取引環境の整備と、パートナーシップ構築宣言の実効性確保の両輪の推進が重要」との考えを強調。相談しやすい環境の整備、中小企業の資金繰り安定に資する施策、下請けGメンの活用、悪質な企業への厳正な措置などの改善を求めた。
公正取引委員会側は、昨年末に取りまとめた「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」に沿って各省連携で取り組む考えを説明。「業種での自主点検などの対応が不十分ならば、公正取引委員会が予防・未然防止的に立入調査する」など、従来の公正取引委員会のスタンスから広がりのある対応を試みる考えを示した。
また、新たに「優越的地位濫用未然防止対策調査室」を設置して機動的な調査などによる未然防止のための措置を強化。「不当なしわ寄せに関する下請相談窓口」の周知徹底や、中小企業庁と連携した下請法の執行強化にも順次着手していく考えを示した。
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