政府は6月7日、国の成長戦略などを示す「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」と「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太の方針)」を閣議決定した。同日開いた第9回新しい資本主義実現会議と第8回経済財政諮問会議の合同会議における議論を踏まえたもの。日本商工会議所の三村明夫会頭は、「わが国経済の長期停滞の克服を目指す意欲的な政策パッケージが取りまとめられたことを高く評価する」とのコメントを発表した。
合同会議に出席した日商の三村会頭は、「資本主義のバージョンアップを掲げ、社会課題の解決と成長の両立により、わが国経済の長期停滞の克服を目指す政策パッケージが取りまとめられた」と述べ、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画案」を高く評価。日本の1人当たりGDPが世界28位にまで後退していることに触れ、「できるだけ多くの国民が、わが国の停滞に対する危機感を共有し、現在の苦境を変革のチャンスとすべきであり、そのための道筋が示された。あとは実行あるのみだ」と強調した。
また、「新たな官民連携」への期待を表明。「政府がリスクをシェアしつつ、市場の効率性を最大限に活用し、民間の投資を強力に後押ししてイノベーションを促し、経済の長期停滞から脱却する契機となることを強く望む」と述べた。
GX(グリーン・トランスフォーメーション)については、「わが国の自然条件の不利を逆転すべく技術開発を加速すべき」と指摘。原子力発電について、安全最優先の早期再稼働と設備利用率向上に向けた取り組みを強く求めている。
岸田文雄首相は、新しい資本主義のグランドデザイン・実行計画について、「市場で解決できない外部性の大きな社会的課題をエネルギーとして新たな成長を図る」と強調。「スタートアップやグリーントランスフォーメーション、資産所得倍増について、複数年度にわたる具体的なプランを本年中に策定し、実行する」との考えを表明した。
骨太の方針については、「機動的なマクロ経済運営によって経済回復を実現しながら、新しい資本主義の実現に向けた計画的で重点的な投資や規制・制度改革を行い、成長と分配の好循環を実現する岸田内閣の経済財政政策の全体像を示している」と説明。「参議院選挙後に、総合的な方策を具体化する」との考えを示した。
国家安全保障体制の整備に向けては、「最終的な担保となる防衛力を5年以内に抜本的に強化する」と強調。新たな国家安全保障戦略などを年末に策定する考えを示した。
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