日本商工会議所は6月15~16日、岡山市で日商と中国ブロック商工会議所との懇談会、第716回常議員会・第290回議員総会などの諸会議をハイブリッド形式で開催した。15日に開催した懇談会では、中国ブロック内の商工会議所会頭からの地方創生に向けた取り組みや課題についての発表後に意見交換。日商の三村明夫会頭は、地方創生の実現に向け、「商工会議所としても、大きな環境変化に適切に対応し、自己変革に取り組んでいくことが重要」との考えを示した。
日商と中国ブロック商工会議所との懇談会には、中国ブロック商工会議所の会頭・副会頭を中心に全国133商工会議所から232人(オンライン含む)が出席。懇談会では、中国ブロック5県の商工会議所から倉都祥行会頭(鳥取・倉吉)、田部長右衛門会頭(島根・松江)、井上峰一会頭(岡山・倉敷)、林克士会頭(広島・福山)、弘中伸寛会頭(山口・下松)から、それぞれの活動などについての発表があった。
三村会頭は冒頭のあいさつで、政府が閣議決定した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」と骨太の方針の内容に触れるとともに、「日本の『1人当たりGDP』が2000年の世界2位から、21年には28位にまで後退した。世界全体が成長する中では、停滞は現状維持ではなく地盤沈下を意味する」と指摘。「できるだけ多くの国民が危機感を共有した上で、今後は官民が連携して、再び強い豊かな日本を取り戻すために、あらゆる分野で生産性向上と潜在成長率の底上げを図る必要がある」と強調した。
倉吉の倉都会頭は、鳥取看護大学の開校に伴う効果や円形校舎などの地域資源を活用した中心市街地活性化協議会の活動を説明。松江の田部会頭からは、たたら製鉄など地場産業の振興と脱炭素など地域におけるエネルギー問題の取り組みを紹介した。
倉敷の井上会頭は、今年2月に同所を中心に隣接3県の商工団体などと連携して設立した「次世代モビリティ瀬戸内コンソーシアム」の活動を説明。大型ドローンや空飛ぶクルマなどを活用した瀬戸内エリアの航空宇宙産業と次世代モビリティの拠点確立、新しい交通・物流・通信システムの構築に向けた具体的な取り組みが報告された。
福山の林会頭は、「福山琴」を活用した和楽器バンドの編成など伝統産業の再生・活性化に向けた取り組みを紹介。下松の弘中会頭は、地域における観光の現状と課題、自然の地形を生かしたトレイルランニング大会の効果などを説明した。
意見交換後に、三村会頭は、「行動する商工会議所」「夢を与えてくれる商工会議所」「ビジョンを与えてくれる商工会議所」としての活動や、周辺地域を含めた広域連携の手法などについて、「非常に商工会議所らしい取り組みだ」と述べるとともに、看護大学、和楽器バンド、トレイルランニングなど若者の活躍を生かした取り組みの重要性を指摘。コロナ禍で再発見したさまざまな資源の発掘・磨き上げによる新たな魅力を創出する活動を高く評価した。
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