中小企業庁は6月23日、今年3月に実施した「価格交渉促進月間」のフォローアップ調査結果を公表した。同調査は、中小企業が、原材料費やエネルギー価格、労務費などの上昇分を、発注元企業に適切に価格転嫁しやすい環境を整備するために、アンケート調査と下請Gメンによる聞き取りで実施したもの。直近6カ月間のコスト上昇分のうち価格転嫁できた割合は3割~1割との答えが多いなど、コストが上昇する中、価格転嫁は難しい状況が見て取れる。
同アンケート調査の調査期間は5月11日~6月17日で、回答企業数は1万3078社(回答から抽出される発注側企業数は延べ2万5575社)。下請Gメンによるヒアリング調査(電話調査)は4月18~28日でヒアリング件数は約1560社。下請Gメンのヒアリング先は、地域や業種のバランスに配慮し、過去のヒアリングにおいて、取引先との関係でコストが価格に反映できていない状況や十分に価格交渉が行われていない状況などが見られた事業者を優先して選定している。
直近6カ月間の価格交渉の協議については、「話し合いに応じてもらえた」が最多で61・4%。次いで、「コストは上昇しているものの、自社で吸収可能と判断したため、発注側企業に協議を申し込まなかった」(12・4%)、「コストが上昇していないため、発注側企業に協議を申し込まなかった」(10・1%)の順で多くなっている。一方、「発注量の減少や取引を断られる恐れがあることなどを考慮し、発注側企業に協議を申し込まなかった」「発注側企業に協議の申し込みを行ったが、応じてもらえなかった」「取引価格を減額するために、発注側企業から協議を申し込まれた(協議に至らない一方的な通知を含む)」という価格協議ができていないとする回答も9・9%存在している。
同じく直近6カ月間のコスト上昇分のうち、価格転嫁できた割合については、「3~1割程度」が22・9%で最多。「0割」(21・1%)、「マイナス」(1・5%)を合わせると22・6%が全く価格転嫁できていない状況だった(図参照)。
価格転嫁できた割合を「エネルギーコスト」「原材料費」「労務費」のコスト要素別に見ると、原材料費は約6割の企業が価格転嫁できているなど比較的価格転嫁が進んでいる一方、エネルギーコストと労務費は、価格転嫁できていない企業が3割以上と、価格転嫁が厳しい状況となっている。
業種別に価格交渉の協議状況を見ると、「繊維」「鉱業・採石・砂利採取」「機械製造」などが相対的に協議ができている一方、「金融・保険」「トラック運送」「廃棄物処理」では協議に応じない発注側企業が多い。価格転嫁の状況は「化学」「機械製造」「金属」などの業種で転嫁の状況が良く、価格転嫁ができていない業種は「トラック運送」「通信」「廃棄物処理」などが相対的に多い結果となっている。
中小企業庁では、今回の調査結果を踏まえ、状況の良くない発注側の個別企業に対して、下請中小企業振興法に基づく「指導・助言」の実施を検討。引き続き業種別の自主行動計画やガイドラインの拡大にも取り組む。
詳細は、https://www.meti.go.jp/press/2022/06/20220622002/20220622002.htmlを参照。
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