日本・東京商工会議所、日本経済団体連合会、経済同友会の経済3団体は5日、都内のホテルで新年会と共同記者会見を開催した。新年会には、岸田文雄首相や全国の経営者ら約1500人が出席。新年会後の共同記者会見で日商の小林健会頭は、能登半島地震への商工会議所の対応について説明。3団体の役割については、「力を合わせてまずはこの国難に対処し、次に日本経済活動を停滞から成長へ向けて力を合わせて引っ張っていくことだ」と述べた。
新年会であいさつした岸田首相は、能登半島地震への政府の対応に触れ、「震災対応に万全を期すため、政府の総力を挙げて取り組む」と強調。2024年の日本経済については、「所得と成長の好循環による新たな経済へ移行する大きなチャンス。政府として思い切った対応をして取り組む」と述べるとともに、経済界に対しては、賃上げへの協力を要請した。
新年会後に開いた3団体長による共同記者会見で日商の小林会頭は冒頭、能登半島地震への商工会議所の対応について、特別相談窓口の設置や、義援金の受け付けを開始することを説明。「行政などと連携しながら地方経済活動を一日も早く取り戻すべく努力していく」との方針を表明した。経済3団体の役割については、「それぞれ役割やテリトリーは違うが、力を合わせてまずはこの国難に対処し、次に日本経済活動を停滞から成長へ向けて力を合わせて引っ張っていく」と述べた。
日本経済の見通しについて、「4月から6月にかけての給付金や所得減税といった政府の経済政策もプラスになり国民所得が増え、国内投資が活発化し、またインバウンドも増加することが予想される。年初の地震のことは差し置くと、堅調に推移する地合いはある。物価も随分と落ち着いた。日銀が目指す2%台、できれば低いところで収まるべく期待をしたい」と述べた。
為替については、「中小企業の立場から言うとやはり130円台が望ましい」と指摘。海外経済については、各国で大統領選などが相次ぐことに触れ、「選挙になると各国でポピュリズムが出て、内向きの政策が増える。世界中を相手に通商で成り立っている日本の経済としては、非常に苦しい局面もあり得る」との見方を表明した。
賃上げについては、「モメンタムを維持するため、賃上げの原資を確保しなければならない。これが中小企業の至上命題だ」と述べ、原資の確保に向け、生産性の向上、材料費や労務費など原価の価格適正化の2点を強調。取引適正化に向けては、「パートナーシップ構築宣言」の推進を挙げ、「価格適正化の話し合いをぜひしてほしい。特に大企業の経営者が中小企業を向いてほしい。また、中小企業も臆することなくディスカッションをしてもらいたい。良いものには対価を払うという習慣を根付かせることが成長へとつながっていく」と述べた。
人手不足への対応については、「中小企業の一番の悩みだ。商工会議所としても、生産性向上のために伴走支援もしているが、(一方で、)少数精鋭の中小企業、一騎当千の人材も増えている」と述べ、適材適所への流動化が起こることへの期待を表明。外国人労働者については、「段階的に受け入れが少し緩和される方向になっているが、現段階でヨーロッパのような移民問題が発生するようなものではない。政府とも相談しながら慎重に進めていかなくてはならないが、外国人労働者も選択肢の一つだ」との考えを述べた。
最新号を紙面で読める!