政府は8月27日、第12回「GX実行会議」(議長・岸田文雄首相)を開催した。会議では年末に策定するグリーントランスフォーメーション(GX)に関する国家戦略「GX2040ビジョン」のたたき台が示され、日本のGXの実現に向けた取り組みについて議論した。会議に出席した日本商工会議所の小林健会頭は、2年間の会議を通じてGXの取り組みが大きく進展したことを評価するとともに、原子力発電所の再稼働の推進や多くの中小企業が省エネに取り組むための大胆な予算措置などを政府に求めた。
会議では「GX2040ビジョン」のたたき台における検討事項として、原発の再稼働や脱炭素電源などへの産業集積の加速など10項目が提示された。小林会頭は次期エネルギー基本計画について「GX推進はエネルギーの安定安価な供給が大前提。鍵を握るのは原発」と強調。原子力政策の推進をしっかり打ち出し、安全性を確保した上での再稼働推進を求めた。
GX産業構造については、中小企業における脱炭素化のハードルに関して「専門家派遣など政府による支援とともに、日頃から中小企業と関係を持つ大手企業による脱炭素分野での連携・協力を後押しするような仕組みが必要」と述べた。また、「中小企業の脱炭素はコスト削減につながる『省エネ』から始めるべき」と指摘し、多くの中小企業が省エネに取り組めるよう大胆な予算措置を求めた。
産業立地については「脱炭素電源の設置が立地地域の産業振興につながることが重要」と主張。半導体関連やデータセンターなど需要家企業の誘致や地元中小企業の参画を促す取り組みを求めた。
岸田首相は「GXの取り組みは、国力そのものを左右するとの認識の下、一貫した取り組みを不断にバージョンアップし、試行錯誤を恐れず迅速に実行していかなければならない」と述べ、「残された任期の間にGXを一歩でも前進するため尽力する」と決意を表明。原発の再稼働については「安全性の確保を大前提としつつ、地元理解を得た上で再稼働していくとの方針に従って、新規制基準に適合した柏崎刈羽原発について対応していく」と述べ、原子力関係閣僚会議を開催し、柏崎刈羽原発の再稼働に関する対応策の具体化に向けて確認と指示を行う考えを示した。
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