経済産業省は9月25日、「令和5年度電子商取引に関する市場調査(デジタル取引環境整備事業)」の結果を取りまとめ、公表した。これによると、2023年の日本国内の消費者向け電子商取引(BtoC-EC)市場規模は前年比9.23%増の24.8兆円。サービス系分野ではコロナ禍の影響で落ち込んでいた旅行、飲食、チケット販売が昨年に続き大きく増加した。同調査は1998年に始まり今回で26回目。企業間電子商取引(BtoB-EC)、消費者向け電子商取引(BtoC-EC)、および個人間電子商取引(CtoC-EC)の市場規模、電子商取引化率(EC化率:商取引市場規模に対する電子商取引市場規模の割合)を推計するほか、日本・米国・中国3カ国間の越境ECの市場動向や市場規模、消費者の越境EC利用実態などを調査している。
今回の調査結果では、23年の日本国内のBtoC-EC市場規模は24.8兆円で、前年比9.23%増。BtoB-EC市場規模は465.2兆円(前年比10.7%増)となった。EC化率はBtoC-ECで9.38%(同0.25ポイント増)、BtoB-ECで40.0%(同2.5ポイント増)となり、商取引の電子化が進展しているとしている。
また、CtoC-ECの市場規模は2兆4817億円(同5.0%増)と推計された。同市場はフリマアプリとネットオークションを含み、広く捉えるとリユース市場の一形態と見られ、今後の拡大が見込まれると分析している。
BtoC-ECの市場規模を分野別に見ると、物販系分野は14兆6760億円(前年比4.83%増)、サービス系分野は7兆5169億円(前年比22.27%増)、デジタル系分野は2兆6506億円(同2.05%増)。その内訳は、物販系分野では「食品、飲料、酒類」「生活家電、AV機器、PC・周辺機器など」「衣類・服装雑貨など」「生活雑貨、家具、インテリア」の4カテゴリーがそれぞれ2兆円を超過するとともに、物販系分野の73%を占めた。サービス系分野では「旅行サービス」(3兆1953億円)が4割超を占める。特に23年はコロナ禍の影響で落ち込んでいた旅行、飲食、チケット販売が昨年に続き大きく増加した。 デジタル系分野の内訳を見ると、「オンラインゲーム」(1兆2626億円)が47%と最も大きな割合を占めているが、市場規模は前年比3.6%減と減少。外出機会や余暇の選択肢の増加、インフレによる可処分所得の減少などが影響し、市場規模縮小につながったと推察している。一方、電子出版(電子書籍・電子雑誌)市場は電子コミックにけん引され堅調に伸び、有料動画配信の市場規模も拡大している。
日本・米国・中国の3カ国間における越境ECの市場規模については、いずれの国の間でも増加した。日本の越境BtoC-EC(米国・中国)の総市場規模は4208億円。このうち米国経由の市場規模は3768億円、中国経由は440億円だった。中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は2兆4301億円(前年比7.7%増)、米国事業者からの越境EC購入額は2兆9610億円(同7.7%増)だった。
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