何もかも値上がりが当たり前の時代です。コロナ前と比べると食料品の価格は2割ほど上昇し、物価は高騰を続けていますが、賃金の上昇はそれに追い付いていません。大企業に勤めているならまだいいとしても、中小企業のサラリーマンの小遣いは減っていくばかりです。
昔は新年を迎えるに当たって、下着やパジャマ、歯ブラシなど、身の回りの物を新しく買いそろえたものですが、皆さんの会社の従業員の家庭は、晴れ晴れしい気分で正月を迎えることができたでしょうか。
ある調査によると、ミレニアル世代(1981年から96年頃に生まれ、日本の労働人口の約45%を占めるとされる世代)の中で、昭和の猛烈社員のように上を目指す人は全体の2割強、残りの8割近くは、仕事はそこそこにして、プライベートを大切にしたいと考え、ワークライフバランスを重視するというデータがあります。彼らは、給料は多くなくてもいいから、人間関係で苦労しない仕事がいいと思っていて、飲食業やサービス業、営業マンなどを嫌がります。また転勤は回避したいが、転職には抵抗がないという傾向も見られ、結婚観にしても、恋愛はしたいものの、熱望する相手に出会わない限りしなくてもいいという人が多いのです。結婚も子どもを持つことも、個人の自由と捉える人が多く、後のZ世代を上回っています。
プライベートでは、食事の大半はコンビニで済ませ、時々おいしいラーメン屋に行列し、ネットのゲームや趣味の世界を楽しんで、毎日を暮らせればそれでいいのです。そういう人、周囲にいらっしゃいませんか? 気が付かないだけで、きっといると思います。
「嘆かわしい」、そう思うとしたら、物差しがちょっとズレているかもしれませんよ。この人たちに「やる気がない」わけではないのです。平成以降の日本が育んだ、これが「普通の日本人」なのでしょう。組織を動かす人間にとって重要なのは、その事実を理解して経営に生かす、ということです。
視点を変えてみると、これほど良い時代はないかもしれません。彼らは変化を求めず安定した環境を望みます。地味にコツコツやってくれ、会社を安定させてくれるタイプの従業員です。ピラミッド型の組織をつくるのにはちょうどいい、ありがたい存在というわけです。
大切なのは、競わせるのではなく、一人一人を理解して使い分けることです。出世欲の強くない人に対して過度な期待をすると辞めていくでしょうし、その逆も同じです。
適材適所は社員の幸福感に直結します。社員を幸せにするために、一人一人の幸せはどこにあるのかを知る努力が必要です。
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