日本商工会議所は1月28~30日、長崎商工会議所、長崎県商工会議所連合会と共に、長崎市で「全国商工会議所観光振興大会2025㏌長崎」を開催した。大会には、全国254商工会議所・連合会から1863人が参加。「ふるさとの光を観(み)つけに!長崎遊学」をテーマに、初日に分科会、物産展、全体交流会、2日目に全体会議、最終日にエクスカーションなどを行った。全体会議では、商工会議所が旗振り役となって持続可能な観光地域づくりを進めていくための指針となる「長崎アピール」を採択したほか、2024年度「全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞」の表彰式を行った。
29日の全体会議であいさつした日商の小林健会頭は、「インバウンドなどのさらなる拡大が見込まれる一方、三大都市圏や有名観光地への集中が加速し、地方への誘客が急務」「物価上昇や人手不足により、観光関連事業者の労働集約型ビジネスモデルにも限界が見え始めている」との認識を示した上で、「持続可能な観光地域づくり」が地方誘客と地域経済活性化の鍵になると指摘。「裾野が広い観光産業が先導し、労働集約型から高付加価値型へ構造転換を図り、『良いサービス、良いモノには値が付く』その対価を払うことで、地域経済の好循環につながるという意識を広めていくことが重要」と強調するとともに、「今こそ、商工会議所が中心となり、観光収益を地域に広く還元し、事業者や住民がその恩恵を実感できる形を目指していくことが重要」と呼び掛けた。
全体会議では、日商の志岐隆史観光・インバウンド専門委員長による24年度「全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞」の総評および各地域で目指すべき観光振興の方向性の説明や、同賞の表彰式と大賞を受賞した奈良商工会議所による事例発表などを実施したほか、シンガー・ソングライターで小説家のさだまさし氏が「ふるさとのチカラ」をテーマに基調講演を行った。
全会一致で採択した「長崎アピール」では、「大阪・関西万博も控える中、今こそ、全国各地にある歴史・文化、自然、食など〝ふるさと〟の地域資源の魅力を高めるとともに、観光を支える人材を育成することで、『観光業』を『観光産業』へ昇華させ、地域経済につなげなければならない」と強調。各地の商工会議所が「ふるさとの再発見と地域ブランディングの推進」「新たなニーズの取り込みによる旅の満足度の向上」「観光を起点とした地域経済の好循環の実現」「地域への愛着や誇りの醸成による持続可能な観光の実現」に取り組んでいくことなどを盛り込んだ。
次回の大会は、2026年6月に北海道で開催する。