日本商工会議所は2月16~19日、日中経済協会、日本経済団体連合会と合同で訪中団を派遣した。訪中団には、日商の小林健会頭、日中経協の進藤孝生会長、経団連の十倉雅和会長をはじめ、過去最大規模の総勢約230人が参加。新たな日中経済協力やビジネス環境改善に向け、何立峰(か・りつほう)副総理や王文涛(おう・ぶんとう)商務部長など中国政府幹部らと意見交換を行った。
合同訪中団は17日、人民大会堂で何副総理と会談。日商の小林会頭は、「日中両国は一衣帯水の隣国であり、経済的にも不可分。分断よりも協調に軸足を置いた経済交流が必要」と述べ、食肉や水産物など日本産食品の輸入再開による機運醸成に期待を示した。また、中国日本商会が進出日本企業の抱えるビジネス環境の課題を取りまとめた白書について触れ、①在中国日本人の安全確保②国内の消費刺激策の継続③黒鉛やアンチモンなどの輸出規制緩和――の3点について要望した。
経団連の十倉会長は、透明かつ予見可能性の高いビジネス環境の整備や、輸出管理措置の明確な運用、万博を通じた交流機会醸成などを要望。日中経協の進藤会長からは、国際秩序の維持と平和の実現、健全な日中関係に向けた交流促進、世界に貢献するアジアの価値観創出を求めた。
何副総理は、過去最大規模の訪中団に歓迎の意を示すとともに、第三国市場における新エネルギー分野の新たな発展機会の開拓について、日本企業の協力に期待を表明。日本産食品の輸入規制については、ALPS処理水に係る海域モニタリング結果に基づき、中国の消費者の不安を払拭することが重要との認識を示した。
また、同日に開催した中国・国家発展改革委員会との全体会議では、日商の上野孝副会頭(横浜・会頭)、谷川浩道副会頭(福岡・会頭)、國分文也特別顧問(東京・特別顧問)らが発言。上野副会頭は、2027年に横浜で開催予定の国際園芸博覧会を紹介し、日中交流促進に期待を示した。
訪中団はこのほか、商務部、工業信息化部などの主要経済官庁幹部との全体会議やレセプションなどを開催。小林会頭は今回の訪中団を振り返って、「この1年で、米国大統領選含め大きく国際情勢が変わった。変化の激しい時こそ、隣国であり大きな市場である中国を訪れ、直近における戦略的互恵関係とは何かを探りに行くという意味では大きかった」と総括した。