日本・東京商工会議所は4月18日、「知的財産政策に関する意見」を取りまとめ、公表した。5月7日には、日商の宗像直子知的財産専門委員長が内閣府知的財産戦略推進事務局の奈須野太事務局長を訪ね、意見書を手交。地域・中小企業における知的財産の創造・活用・保護の促進に向け、意見の内容の「知的財産推進計画2025」など政策への反映を強く求めた。
意見書では、わが国経済が潜在成長力の底上げと国際的地位の再浮上に向けた極めて重要な局面にある今こそ、知的資産を核とした競争力を再構築しなければならないと指摘。また、政府が掲げる「高付加価値創出型経済」の実現には、イノベーション創出と知的財産は密接不可分との認識を強調し、知財活用による高付加価値の創出を産業政策の目的に位置付け、企業行動を変革し、地域経済の好循環を生み出していく重要性を主張している。
こうした基本認識の下、具体的な要望項目として、①知財経営リテラシーの向上②中小企業における知財の創造・活用促進③取引適正化・侵害防止に向け た知財保護の強化④日本のコンテンツ関連産業の拡大および加速するデジタル市場への対応⑤地方創生に資する地域および中小・中堅企業の知財活用に向けた体制整備――の5点を提示している。
①では、知財の重要性に関する普及啓発、知財取引適正化に向けた秘密保持契約の締結や不当な契約見直しといった法務支援の強化などを提案。②では、中小企業における「知的財産の活用・保護推進アクションプラン(仮称)」の策定、知財活用の普及・促進に向けた各種支援施策の拡充の必要性などを指摘している。
③では、知財保護の強化に向けた実態調査や、指針・制度の策定について検討を求めるとともに、技術・ノウハウなどの情報流出防止に向けた支援強化などを求めている。④については、コンテンツ関連産業の保護・育成や、生成AIの活用などに向けた環境整備を要望。⑤では、地方自治体における知的財産推進計画の策定支援をはじめ、地域経済の持続的成長に向けた地方自治体の支援体制の強化の必要性を主張している。