この連載の初回は、2024年2月号「志摩スペイン村とVTuber周央サンゴ」。VTuber文化に可能性を感じていた私は、岩波書店から『VTuber学』という本を出し、25年度に京都大学で客員准教授となり、VTuber関連の授業を担当している。
6月13日、京都大学の講義で人気VTuber「儒烏風亭(じゅうふうてい)らでん」さんにご登壇いただいた。終了後、熱も冷めやらぬまま同人誌『ご当地VTuber図鑑』を購入し、特急に乗って福井県に向かう。
翌日、越前市にある仁愛大学で講演をした。題して「コンテンツツーリズムの面白さ -アニメ聖地巡礼、ゾンビ、VTuberと観光」。講義を終えてSNSを確認すると、福井県のご当地VTuberの方々からさまざまな反応が届いていた。なんと、講演を直接聞いてくださった方もいた。
『ご当地VTuber図鑑』には、47都道府県、合計118人のご当地VTuberが掲載されている。福井県のページには「紫式部」さん、「若紫まい」さん、「巫薙(みなぎ)りんか」さんの姿がある。JR越前たけふ駅に行き、新幹線まで時間があったので、隣接している「道の駅越前たけふ」に入ってみる。すると、先ほど反応のあった紫式部さんのグッズが多数。思わず購入してしまった。
その夜、VTuberゾンビ先生として、講演に行った旅の話をライブ配信したところ、福井県のご当地VTuber3人と、図鑑をつくった埼玉県のご当地VTuber「沢ところ」さんがチャットにコメントしてくださった。なんという熱意、行動力!私にとって福井県は「VTuberが大歓迎してくれる所」として強烈に印象に残り、とても身近な県になった。
VTuberは感情的アクセスを強める際に有効だ。バイタリティーにあふれ、企画力、行動力、熱意を持ったVTuberは数多い。あなたの県にもご当地VTuberが必ずいる。まずはその“推し”になってみていただきたい。