サブスク解約率を自動で改善 アプリ運営者や利用者をサポートする
株式会社Bogunov 代表取締役社長 ボグノフ 愛臨(ぼぐのふ・あいりん)
自身の経験をきっかけに 初めて自社サービス開発
私は通信会社に勤めながら、エンジニアである夫と共に2016年、「Bogunov」を設立しました。国内外の企業などのスマホアプリの受託開発を行い、徐々に軌道に乗ったことで、通信会社を退職し、新たに自社サービスの開発にも踏み出しました。
こうして当社が開発した「subgrow」は、スマホアプリのサブスク解約率を自動で改善するシステムです。課金ユーザーがサブスクを解約する理由を把握し、ユーザーそれぞれに最適なプロモーションを自動で生成して送信します。これによりサブスク解約をとどまらせたり、ユーザーを呼び戻したりすることができます。また、解約理由を参考にして、アプリの改善を図ることも可能です。
開発のきっかけは、私自身、子どものベビーシッターを依頼するために使用していたアプリが使いづらいと感じたことでした。アプリ運営者に不便な点を伝えないままサブスクを解約してしまったのですが、同じような状況はほかの人、違うアプリにも起きていると想像しました。辞める理由が運営者に伝わらないまま解約が増えていくと、例えばベビーシッターが減るといった、社会に影響が出ることにつながりかねません。
アプリ運営者が独自に「subgrow」のようなシステムを構築すれば、解約理由を分析し、ユーザーを維持することは可能かもしれませんが、それには大きなコストがかかってしまいます。ベビーシッターマッチングやフードロス改善など、社会課題解決につながるアプリの多くは、スタートアップ企業によって運営されていて、そのようなコストをかける余裕はないのではないかと思いました。そこで、手軽に導入できるシステムを当社が提供し、スタートアップ企業をはじめとするアプリ運営者のサービス改善や顧客維持を支援したい、そしてアプリによるサービスを必要とする人たちの力になりたいと考えました。
次世代のため夢も家庭も大事にしたい
「subgrow」の開発や改良に当たっては、投資家らが出席するプレゼンイベントへの参加や、アプリ運営者へのヒアリングを続けてきました。そこで得られた意見を基に、AIで解約理由を解析する機能を取り入れるなどして、競合他社との差別化を図っています。日本を含め、世界のサブスク市場の規模は拡大しています。今後もシステムをより良いものにし、国内外で広く展開していきたいと思います。
私のようにテクノロジー企業を創業し、子育てしながら社長業を続ける女性は、日本でまだ少ないかもしれません。両立はもちろん大変な時もありますが、チャレンジする姿を子どもたちに見てもらうことは、大きなモチベーションになっています。当社の活動によって、夢も家庭も諦めない女性が増えることにつながると信じ、これからも励んでいきたいです。
会社データ
社名 : 株式会社Bogunov(ボグノフ)
所在地 : 東京都新宿区新宿1-36-2 新宿第七葉山ビル3階
創業 : 2016年
事業概要 : ソフトウエア開発(アプリの受託開発、保守・運用サポート事業など)
HPはこちら : https://bogunov.co.jp/
※月刊石垣2025年7月号に掲載された記事です。