三原商工会議所(広島県)は6月30日、三原市、観光団体などと共に三原市内の祭りの継続を支援する「祭り振興協議会」を設立し、会長に同所の森光孝雅会頭が就任した。同所が事務局を務める。同協議会は、人口減少社会の中でも時代の潮流に即した祭りの在り方を模索するとともに、市民の郷土愛の醸成と地域経済の活性化や同市の観光振興に寄与することが目的。これまで各祭りが抱えていた課題を横断的に取りまとめ、三原市における伝統文化である祭りの継続的な開催を支援する。
同協議会では「支援機関が横串を刺して、後世に伝統文化を継承し、市民のアイデンティティとなっている祭りという文化を灯し続ける」ことを目指すべき姿として、活動方針に①来街者の誘因②まちのプロモーション③消費需要の創出④地元事業者への経済循環⑤市民の郷土愛の醸成⑥Uターンを中心とした人口の創出強化――の6項目を掲げ、祭りなどの開催、祭りを構成する伝統文化活動の周知、祭りの事業計画・予算の審議、祭り実施後の決算の承認・会計監査、将来展望を見据えた長期ビジョンの協議・連携・調整に取り組む。
同協議会設立の背景には人口減少下において、祭り実行委員会など運営側の人手不足、物価高騰による開催コスト増加などの資金的不安、規制の厳格化などによる関係機関との調整など運営側の対応負担増加により、祭り自体の開催や守り続けられてきた伝統の維持継承が年々難しくなっている現状がある。同協議会は、既存の振興協議会を発展的に機構改革し、これまで各祭りごとに対応していたこれらの課題を横断的に取りまとめる組織として発足。それぞれの祭りの主催・運営はこれまでと同様に実行委員会が担う。協議会は協賛金依頼など収益確保に関する支援、ボランティアの募集、祭り全体に共通する関係機関との調整業務や情報共有も行い、運営をサポートする。
同市では、中国地方を代表する夏祭り「三原やっさ祭り」をはじめとする伝統ある祭りが毎年開催されている。そのため、祭りを地域に根付く歴史や特徴、伝統文化を現在、未来につないでいく重要なコンテンツと捉えており、祭りを通して市民には郷土への愛着、市外からの来場者にはまちとの関係性をつくり、地域経済の活性化やまちの魅力向上といった「まちが元気であり続ける」効果の創出を目指している。