わがまち塩尻市は、長野県の中央に位置し、その8割は山林が占める自然豊かな地域です。地形は南北に長いブーメラン型で、市域は290平方キロメートルを有しています。北アルプスなどの山々に囲まれており、昼夜や季節による寒暖の差が大きいのが特徴で、夏と冬の気温差は45度に及びます。
この寒暖差は、ブドウ栽培に適しており、当市で採れるブドウは糖度が高く風味が豊かなことで有名です。近年では赤ワイン用のブドウ「メルロー」が非常に好評で、塩尻産メルローワインは国内外のコンテストで数々の賞を獲得。世界的なワインの銘醸地として愛好家にその名が知られるようになりました。
さて現在、当市が属する松本圏域の生産年齢人口は、人口減少下で20年後に15%の減少を見込まれており、担い手の減少による事業所の廃止、圏域の衰退が危ぶまれています。高校卒業生の7割は県外の大学、専門学校などに出て、その4割弱しか戻っていません。Uターン就職率は低下傾向にあり、若者がいかに移住、定住し地域の担い手となって活躍してくれるかが今日の最大の課題です。
この課題に対し、学校や行政、地域、企業、NPO法人そして当所が一体となってキャリア教育を推進するため、昨年、「共創共学プラットフォーム」を立ち上げました。関係者一同、連携を密にして、地域産業への理解と愛着を持った若者を育成し、地域が保有する人的資本を高めるため取り組んでいます。
さて、私が経営する会社は07年の創業と同時に、ブランド力の高いフランチャイズチェーンに加盟し、現在県内最多の25店舗を展開しています。豊富な情報力と集客力・仲介力を強みに、甲信越北陸6県において仲介件数・管理戸数ともにナンバーワンを維持しています。また、商工会議所会員向けに人材不要の新規事業として賃貸経営のコンサルも行っています。
移住、定住するためには「食・職・住」が重要です。当地域は田園に囲まれた地域柄、水、コメ、野菜もおいしく、食は豊かです。働き手がいなければ事業継続も困難となります。働き場所、仕事がなければ、若者もますます戻らなくなり負のスパイラルに陥ります。私自身、「住まい」に携わる立場であることから、微力でありますが、好住環境の提案ができるよう、さらに努めていきます。
これからも地域総合経済団体としての商工会議所の責務の下、会員企業の皆さまと共に取り組む中で、企業活動、生活のステージであるこの地域が、いつまでも豊かで希望のあるまちであることを願ってやみません。