私は毎年暮れに「時流予測」を行ってきました。コロナ禍の直前(2019年末)に予測した、20年の時流予測を読み返してみると、「西洋から東洋に文化・経済の中心が動き、2026年から30年に中国が覇権を握る」と記していました。しかしそれは、ロシアのウクライナ侵攻以来大きく変わり、ロシアを擁護する国々と、制裁を科す西側諸国に世界は大きく分断されました。
現在はトランプ大統領がナショナリズムを掲げて関税を盾にし、米国の強さを維持。しかもノーベル平和賞まで狙って活発に動いているようなので、28年までは米国の勢いは続くでしょう。
その影響もあり、今、世界は自国優先のナショナリズムの方向に動いています。もちろん、ロシアの戦争もナショナリズムが根底にあります。この流れは日本も例外ではありません。日本の伝統や文化、国益を強く意識した「日本人ファースト」のスローガンで、今夏の参院選に大勝した参政党の躍進もその一つです。
ウクライナ問題が終わり、トランプ大統領の任期が終了すると、世界はまた変わっていくでしょうが、それまではナショナリズムに向かうと考えてください。このコラムを皆さまが目にする頃には新たな自民党総裁が決まりますが、日本でもこの方向性はしばらく続くでしょう。
自国の産業や雇用を守ることを重視するため、保護貿易主義が広まっています。これにより、国際的なサプライチェーン(部品の調達から完成品までの一連の流れ)が寸断され、コストが増加し、企業は海外の生産拠点をできれば自国内に戻したいと考えるようになっています。
