日本商工会議所は10月3日、東京商工会議所と合同で第12回総合政策委員会(委員長・斎藤保特別顧問)をハイブリッド形式で開催した。委員会には小林健会頭をはじめ、全国から33人が参加。伊東良孝新しい地方経済・生活環境創生担当大臣も出席した。当日は、内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局の海老原諭事務局長から地方創生2・0に係る取り組みの概要について話を聞き、その後意見交換を行った。
小林会頭は、社会全体で賃上げ機運が高まりつつある一方で、近年の最低賃金の大幅な引き上げにより影響を受ける事業者が増加していることに触れ、「このままでは地方の商業・生活インフラの維持が難しくなる」と改めて強い懸念を表明。政府や経済界による各地域の状況を踏まえた取り組みの必要性を強調するとともに、政府には、国内投資促進に向けたインセンティブ拡充や、地域の事業者を支える商工会議所経営指導員の支援体制強化などを要請した。
伊東大臣は、「新しい地方経済・生活環境創生交付金(新地方創生交付金)で、2024年度補正予算分と25年度当初予算を合わせて1580団体の取り組みを採択した。これらのテーマの下、地域を元気にする若者や女性が活躍できる地域社会をつくる。また、東京一極集中を抑えながら、地方の人口減少を食い止めたい」と述べ、民間の力を最大限に生かした取り組みの推進に意欲を示した。
海老原事務局長は、これまでの地方創生の成果と課題、10年間での情勢変化を踏まえ、6月13日に閣議決定した「地方創生2・0」の基本構想などについて説明。目指すべき姿として「〝強い〟経済」「〝豊かな〟生活環境」「新しい日本・楽しい日本」の3点を挙げるとともに、政策の5本柱には①安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生②稼ぐ力を高め、付加価値創出型の新しい地方経済の創出③人や地方分散④新時代のインフラ整備とAI・デジタルなどの新技術の徹底活用⑤広域リージョン連携を示した。
また、同委員会の下部組織である産業・地域共創専門委員会(委員長・中村邦晴特別顧問)において取りまとめた報告書「『共創』と『循環』による地方創生~地域の価値創出へのアプローチ」について、中村委員長から説明があり、意見交換を行った。
