阿南商工会議所(徳島県)は阿南市の伝統工芸品「阿波踊り竹人形」の製作技術を伝える「未来へつなぐ後継者育成講座」を16年ぶりに復活させた。講師には2009年の講座を受講した「阿南市竹人形伝承会」の職人3人を迎え、市民10人が竹人形制作を学んだ。職人が減少している中、技術を伝承し、市民にものづくりの楽しさを伝え、文化振興につなげるとともに、観光土産品としての生産性向上と販路拡大を目指す。
竹人形は竹の枝や節の特徴を生かして踊り手の躍動感やしなやかさを表現している点が特徴。講座では、竹人形の男踊り、女踊りや太鼓、三味線など鳴りもののつくり方、竹の切り出しと漂泊の方法、商品開発と販売方法を9~12月までの全8回で学ぶ。
講座終了後の26年1~2月には、参加者が作成した竹人形の展示会を開催する。また、時代の変化に沿った竹人形の新商品開発や販路拡大支援、パンフレット製作やSNSを活用したPR活動に取り組む。
同事業のきっかけとなったのは、職人の高齢化が進み、後継者育成が急務となったことだ。かつては約50人いた職人も80年代には1人になってしまった。そこで09年に同所が後継者育成講座を開催したところ、修了生8人が「阿南市竹人形伝承会」を結成し、技術を継承してきた。
しかし、制作を続けている職人は現在では3人となり、平均年齢も80歳を超えている。このため、同所は竹人形の文化を次世代につなぐ役割を担おうと講座の再開に至った。
同所担当者は「今後、阿南市の竹人形の技術が良い形で伝承していくことを期待している。教えられた基本を身に付け自分のものとして新たな発展へとつながってほしい」と期待を寄せた。
