日本商工会議所産業・地域共創専門委員会(委員長・中村邦晴特別顧問)は10月16日、第32期最終報告書「『共創』と『循環』による地方創生~地域の価値創出へのアプローチ」を公表した。
報告書は、「持続的な経済成長には地域経済の好循環の実現が重要」との認識の下、①「地域人材」の確保・育成・還流②地域・企業の価値創出と資金供給の充実③公民共創と連携による地域の持続性向上――の3本柱を軸に、各地域で商工会議所が多様な主体と連携して地方創生に取り組む際のヒントとなるよう、取り組み方法や参考事例などを盛り込んだもの。また、地方創生の推進に向けて政府に求める支援や環境整備についても掲載している。
①では、人口の自然減や若者の地方離れ、地域における人材不足などが深刻化する中、「地域を支える人材をいかに確保し、育成するか」「地域の魅力を生かした生活・雇用環境をいかに整備するか」といった対応の方向性を提示。具体的には、地域の人材不足を補完するプラットフォームの整備やマッチング機能の強化、外国人材の受け入れと地域の安全・安心の確保に向けた取り組みの必要性などを指摘している。
②では、人口減少・流出の加速に伴う地方の需要や消費、地域における投資などが停滞する中、地域や企業の「稼ぐ力」強化と資金調達手段拡充の必要性などを強調。政府には、産官学金労言士の「新結合」による共同研究・製品開発、知財の活用・保護といった経営者の挑戦への支援のほか、少額公募の募集上限額引き上げをはじめ、投資家の直接投資による資金供給促進などを要望した。
③については、行政区域を超えた地域間連携や、共感を得られる地域ビジョン・産業計画策定の必要性などを強調。自治体間連携やプロジェクト推進を後押しする税財政支援の拡充、官民連携プラットフォ―ムの役割明確化(事業実施の権限・財源分与など)に向けた取り組みなどを政府に求めている。
