新幹線に乗り、掛川駅を訪れた。スマホを用いたGPS連動型音声ガイド「木乃華サクヤと行く!掛川ぶらりおともたび」を体験するためだ。駅前のまちなか16スポットの紹介を聴くことができる。
木乃華サクヤさんは、静岡新聞SBS公認の静岡県ご当地VTuber。音声ガイドでは、サクヤさんがナビゲーターとなり、地元住民も登場する。掛川駅にある観光案内所では、目立つ所にポスターやチラシがあり、そこから2次元コードを読み取ると、音声ガイドのサイトにアクセスできる。
各スポットに近づくと、音声ガイドが始まる。周りの風景とうまくマッチした音声が聞こえてきて、臨場感がある。そして、サクヤさんのガイドが終わった後、その場所にゆかりのある地元住民へのインタビュー音声。スマホから流れてきた声の主が、実際にその場所にいることもあり、地域の深い部分に自然とアクセスできる。
中でも「走る本屋さん 高久(たかく)書店」での経験は得難いものだった。店長の高木久直さんは、「本屋の無い地域の人々に本を届けたい」と移動販売を行い、2020年にこの書店を開業。10坪弱のスペースに漫画から学術書まで、幅広い種類の書籍が並ぶ。店長から「1冊1冊私が選んで入荷しています」と聞いた瞬間、自著『ゾンビ化する社会』が目に入り、「私、この本を書いた者です」と自己紹介した。
店内で目を引かれたのは『掛川百鬼紀行』。22年からハローウィン時期に開催されている怪異物語創作コンテストで受賞、入選した作品が収められた書籍だ。小説部門とTRPG部門があり、掛川はTRPGというボードゲームにも力を入れていることが知れた。こうした地元発の作品はコンテンツツーリズムを誘発する可能性を秘めている。「そろそろ高校生の下校時間ですね」と店長がつぶやくと、地元の高校生が集まり始める。掛川の過去から現在の文化とのつながりをサポートしてくれる音声ガイド。展開可能性は無限大だ。

