独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)は11月20日、「2025年度海外進出日系企業実態調査(全世界編)―大きく変化する経営環境下でも、海外で稼ぐ日系企業―」を公表した。これによると、25年の営業利益は「黒字」を見込む企業が66.5%で前年比0.6ポイント増加。今後1~2年で現地事業を「拡大」すると回答した企業は46.2%で前年比1.0ポイント増加した。米国の追加関税措置については米国に輸出している企業の3割超が「マイナスの影響が大きい」と答えている。
同調査は25年8~9月、海外82カ国・地域の日系企業(日本側出資比率が10%以上の現地法人、支店、駐在員事務所)1万7708社を対象にオンラインによるアンケートを実施したもの。営業利益見通し、今後の事業展開の方向性、米国の追加関税措置の影響などについて、7485社より回答を得た(有効回答率42.3%)。
調査結果によると、25年の営業利益見通しは「黒字」を見込む企業の割合が66.5%で前年比0.6ポイント増加。「赤字」は16.6%で前年比0.4ポイント減少した。黒字割合は2年連続増加、赤字割合は19年以降で最も低い値となった。主要国・地域別に見ると、アラブ首長国連邦(UAE)、オーストラリア、韓国、ブラジル、南アフリカ共和国などで8割前後の高い黒字割合となった。
また、25年の営業利益が前年より「改善」した割合は35.8%、「悪化」は25.6%。インド、英国、ベトナムなどで「改善」割合が高くなっている。
今後の事業展開の方向性を見ると、今後1~2年で現地事業を「拡大」すると回答した企業は46.2%。前年比1.0ポイント増加したものの、コロナ禍以降5割を下回る水準が続く。国・地域別で見ると、「拡大」志向はインドが81.5%で最も高く2年連続で8割超。次いでブラジル(64.3%)、UAE(61.8%)、ベトナム(56.9%)と続いた。一方、中国(21.3%)は3年連続で3割を下回った。
「拡大」する理由は、「現地市場のニーズの拡大」(67.3%)が最も高く、「輸出の増加」「付加価値製品・サービスの受容性が高い」と続く。拡大する機能は「販売」が7割超。製造業では43.6%が「生産(高付加価値製品)」機能を拡大すると回答している。
米国の追加関税措置が25年営業利益見込みに与える影響について見ると、米国に輸出している企業のうち「マイナスの影響が大きい」と答えた企業は38.3%。国・地域別ではメキシコ、中国で半数を超えている。業種別では製造業の約4割が「マイナスの影響が大きい」と回答。一般機械、輸送用機器(自動車など)では半数を超えた。対応策としては、「自社におけるコスト削減」「サプライヤーとの価格交渉」「調達先の分散化」などが上位に挙げられている。
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