環境省・価値総合研究所「地域経済循環分析自動作成ツール」
自分たちの取り組みやビジネスの成功確率を高めるためには、データに基づいて客観的に外部環境を把握することが不可欠です。特に、対象となる地域の特徴を把握することは、戦略・戦術を検討する前提として重要との認識から、国も、地域経済に関するビッグデータを見える化して提供するRESAS(地域経済分析システム)を公開しています。
中でも、所得が生産→分配→支出と循環する構造を可視化した「地域経済循環マップ」は、所得の流出入を通じて地域の特徴が一目で分かる(所得流入=地域の強み、所得流出=地域の弱み)ことから、注目を集めています。
この「地域経済循環マップ」の元データが、今回ご紹介する地域経済循環分析自動作成ツールで作成される地域経済循環分析資料です(図1~3)。
全体で約70ページにもなる資料が自動で作成され、最新のデータを把握可能です(2026年1月9日時点でRESASは18年版、地域経済循環分析自動作成ツールは22年版が公開)。
また、全国平均や他地域との比較、エネルギー消費量やCO2排出量の分析、就業者の規模など地域の概況が自動で作成され、地域の強みや弱みのみならず、その要因まで読み解くことが可能になります。
内容が充実しており、どのページも重要ですが、今回は「産業別純移輸出額」と「地域の主要な取引構造」の二つをご紹介します。
地域内バリューチェーンが明らかになる
「産業別純移輸出額」は、地域の産業別貿易収支額であり、域外から所得を獲得している貿易黒字の産業は何か(所得が流出している貿易赤字の産業は何か)が、すぐに分かります。貿易赤字の産業においては、地域での存在が大きいからと育成・支援すればするほど所得流出が大きくなり、地域の稼ぐ力を弱める可能性がありますので、留意が必要です(図4)。
「地域の主要な取引構造」は、業種間の取引が矢印の有無・向き・色で示されます。矢印を集めながら緑色(純移輸出がマイナス)の産業は域外に所得を流出させるブラックホールのような役割を果たしているといえます。逆に、矢印を集めるだいだい色(純移輸出がプラス)の産業は稼ぐ力のハブとなるため育成・支援の対象候補になるといえます(図5)。
日本商工会議所では、日本経済の再出発には「地域の稼ぐ力の向上と地域経済循環の推進」が必要と訴えています。それぞれの地域が自分たちの特徴を踏まえて地域経済循環を強く・太くする取り組みを進めることが、日本経済にプラスサムの効果を生み出します。
そのための第一歩として、地域経済循環分析自動作成ツールを活用して自地域の地域経済循環分析資料を作成してみてください。
(一般財団法人ローカルファースト財団理事・鵜殿裕)


