標準化とは万人共通の尺度である。長さや重さ、分量の単位を決め、計測する技術が進歩したのは主観を排除するためである。円滑な商取引に役立ち、公平な分配に寄与した▼
さて話は野球である。大谷選手の活躍で米MLBも身近になったが、以前から気になることがある。判定と規格の標準化である▼
まず主審のボール判定。ここを通ればストライクと決まっているのに、試合では一球ずつ判定する。打者も投手もその一球に泣く。だから「自動ボールストライク判定システム」(ABS)が、MLB傘下の3Aで3年前に導入された▼
誤審を含めて人が裁くのが野球だ、すべて機械に任せれば正確だろうが味気ない、との意見もある。だが審判の判定支援システムがすでにサッカーや体操、柔道でさえ導入されているのは人の目による不運を排除するためだ▼
もうひとつは球場の規格である。フィールド競技で規格が一定しない競技は野球以外ない。日米ともホームベースから外野フェンスまでの距離に決まりがない。本塁打はときに試合を決する一打だが、球場に狭い広いがあるのは公平を欠く。東京ドームや神宮球場は本塁打が出やすい。福岡ドームは外野に特設席を設置して本塁打が増えた。最も本塁打が出にくいとされる中日の本拠地や、本塁打を増やしたい楽天の本拠地も外野フェンスを改修中と聞く▼
野球はすべて投手が投じるセットプレーから始まる投手中心のスポーツである。打撃技術の向上がそれを克服し、それをまた投手が乗り越える歴史がある。セーフやファウルの判定に映像が導入されて納得感が高まったのは間違いない。AI時代のいま、ABSの導入で投打の対決に客観性を高めるべきではあるまいか。
(コラムニスト・宇津井輝史)