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2017年度国土交通白書(概要)抜粋 高齢化・単身化が課題 バリアフリーにニーズ

図1 充実させたい余暇(年代別)外出/遠方

国土交通省はこのほど、「2017年度国土交通白書」を公表した。白書では、ライフスタイルに対する国民意識について、「働き方」「楽しみ方」「動き方」「住まい方」に分けて分析。約5000サンプルのアンケート調査により、三大都市圏に住む特に20代(4人に1人)が地方移住に関心があること、子育て世代がワークライフバランスを重視していること、全体として高齢社会を見据えた住まい方、駅や歩道のバリアフリー、自動運転技術などに高いニーズがあることなどが分かった。特集では、白書の概要を抜粋して紹介する。

第1部 大きく変化する暮らしに寄り添う国土交通行政 ~全ての人が輝く社会を目指して~

第1章 変化するわが国の現状(省略)

第2章 ライフスタイルに対する国民の意識と求められる姿

1.働き方について

〇「働けるうちは、できるだけ働きたい」と考える就労意欲は特に高年層を中心に高い。

〇働く上で重視することは年代によって、多様。30代では、ワークライフバランスを重視する傾向にある。

〇働き方を変えるためには、「意識改革」「テレワークやフレックスタイム制など労働時間や場所の多様化」が特に求められており、次に「高齢者、女性などの多様な人材の就業促進」や「キャリアを継続できる人事制度」「技術革新による仕事の効率化」などが挙げられる。

<勤労意欲(年代別)>(省略)<働く上で重視すること(年代別)>

・20代から40代は、給与・賃金、50代から70代は仕事のやりがいを、最も重視している。

・30代は「ワークライフバランス」、70代は「労働を通じた社会貢献」を他の世代より重視している。

◯働き方改革に必要なこと(居住地別)(省略)

【働き方に求められる姿】

・高齢者や女性の就労意欲の充足が可能な働き方の実現(キャリア継続や新たにやりがいを持つことができる仕組みづくりなど)

・子育て世代のワークライフバランスの実現(テレワークなどの時間や場所の制約の少ない働き方のできる環境づくり)

・働き方に対する意識改革や人工知能(AI)、ビッグデータなどの技術革新による仕事の効率化

2.楽しみ方について

〇余暇の過ごし方は、年代によって多様化しており行動範囲にも違いがある。

〇余暇時間が増えた場合、行動範囲の広がりや学びの時間の充実の可能性がある。

〇余暇を楽しむための不足感は、「お金」や「時間」が大きく、それ以外では「友人・コミュニティー」や「近場で楽しめる場所」が比較的大きい。

〇社会貢献活動への参加を「楽しみ」(いきがい)と捉える人が、特に20代と70代において多い。

<現在の余暇(年代別)>

・20代は「自宅で休養」が多く、行動範囲は狭い。

・60代から70代は、行動範囲が広い。

<充実させたい余暇(年代別)>

■外出・遠方

・20代は、旅行に出かけるなど、余暇を充実させたい希望が高い。(図1)

■自己啓発

・20代から40代では、自己啓発に時間を割く希望が増加。

<余暇を楽しむために足りないもの(居住地別)>(省略)<社会貢献活動は人生の楽しみとなるか(年代別)>(省略)

【楽しみ方に求められる姿】

・働き方改革の進展などによる余暇時間の創出

・観光の魅力の向上など、さらに気軽に楽しめる場所や学び直しの機会の創出

・人のつながりを生む社会参加の場の創出と、それらをまちづくりなど社会貢献に生かすための取り組み

3.住まい方

〇全地域において、暮らしを支えるコミュニティーの弱さ、現在の住居の維持管理費用に対する不安がある。

〇中核市未満の市町村では、暮らしを支える都市機能の不足、車依存に対する不安が大。

〇全世代にわたり、高齢社会を見据えた住まい方が必要であり、また若年層では職育近接が求められている。

〇地方移住について、移住する側・受け入れる側双方での関心が高い(特に三大都市圏と5万人未満市町村)。

<居住地域・住宅に対する不安(居住地別)>(省略)

<今後求められる住まい方(年代別)>(省略)

■地方移住推進への希望(図2)

【住まい方に求められる姿】

・都市機能の集約化やコミュニティーの維持などによる、持続可能な地域づくり

・住宅の確保など高齢者などが安心して住み続けられる環境の整備

・子育て世代のワークライフバランスを支える住まい方の支援

・地方移住や二地域居住などの交流が広がる住まい方の支援

4.動き方について

〇都市では公共交通の混雑および道路渋滞、地方では公共交通の確保、車依存に不便を感じている。

<交通手段などの不便・不満>

・混雑緩和などの「動きの快適性」に関する問題は人口規模に比例して大きく、三大都市圏で特に顕著

・交通手段の充実に関する問題は人口規模が小さいほど大きい。

・中核市に満たない市町村では、車がないと生活が成り立たないとする回答が半数。

<公共交通の混雑緩和のニーズ>

・東京圏である南関東地方で最もニーズが高い。

◯充実した暮らしのために今後求められる取り組み

・全地域において、「バリアフリー」「自動運転技術」「公共交通の確保」に高いニーズがある。

■駅や歩道のバリアフリーへの希望

・70代では、公共交通の利用が多い都市圏ほどニーズが高い。(図3)

・子育て世代(20代、30代)では、総じてニーズが高い。

■自動運転技術の発展への希望

・中核市未満の市町村では、今後、運転能力の低下が懸念される高齢世代において自動運転へのニーズが顕著。

・都市圏の若者は自動運転のニーズが高い。

【動き方に求められる姿】

〇都市における公共交通の混雑(特に東京圏)や道路渋滞の緩和など

〇地方における公共交通の維持・活性化、自動運転などによる移動手段の確保

〇バリアフリーによる、高齢者などに優しい移動の確保

第3章 国土交通分野における取り組み

1.働き方に関する取り組み

○女性・高齢者などの新規就労・就業継続への取り組み

■保育施設などの設置の推進

・待機児童を解消し、女性の就業率などを高めるため、都市公園における保育施設の設置を可能とすることや容積率緩和による大規模マンションにおける保育施設の併設などの支援を実施。

■国土交通関連業界における女性・高齢者などの担い手の確保・育成

・建設業・運輸業をはじめとする国土交通関連産業においては、女性・高齢者などの担い手を確保・育成するため、情報発信やネットワーク化など、さまざまな取り組みを実施。

○子育て世代のワークライフバランス実現への取り組み

■テレワークの推進

・国土交通省は、多くの関係府省庁・団体と連携してテレワークの普及を進めており、その一環として、7月24日を「テレワーク・デイ」と位置付け、テレワークの促進を図っている。福岡県福岡市にあるシェアオフィス「SALT」は、海辺の立地環境を生かし、周辺の居住者のみならずリゾートワークを楽しむ利用者をターゲットとするなど、テレワークセンターの先進事例としても期待される。

○技術革新などを活用した仕事の効率化への取り組み

■造船業の現場における仕事の効率化

・技能工の労働負荷を低減させる「アシストスーツ」やAIなどの革新的な技術を用いた高効率な「自動溶接機」の導入などに対する取り組みを支援。

■リカレント教育の支援

・中小・中堅建設企業などによる生産性向上に必要な技能の学び直しなどの取り組みに対して支援を実施。

2.楽しみ方に関する取り組み

〇観光の魅力の向上

■観光資源の開拓・魅力の向上

・多様な観光資源を開拓し、魅力を向上させ、交流人口の拡大を図るため、名産品を開発することや酒蔵など特定の観光資源をつなげ地元住民による紹介を行うことなどの取り組みを支援。さらに、博物館の夜間開館などナイトタイムの利用といった観光資源の有効活用の検討も進めている。

■観光地域づくりの支援

・訪日外国人旅行者をはじめ観光客が、各地域を周遊し交流人口を拡大させる魅力的な観光地域づくりのため、DMOが地域の関係者と共に行う滞在プログラムの造成、商談会の開催などに対する支援を実施。

■島風構想

・離島の魅力を都市部などに発信(島からの風)し、都市部などからの交流人口などを創出する(島への新しい風)取り組みを「島風構想」とし、その推進のため、離島を網羅的に紹介する初のポータルサイトの構築や、若者・外国人などに伝わるメディア(SNSなど)による情報発信などを実施している。

○人のつながりを生む場の創出とそれらを社会貢献活動に生かす取り組み

■エリアマネジメントの推進

・「札幌大通まちづくり株式会社」は、まちを「使ってほしい」という思いの下、市民参加のイベントや美化活動などを実施し、主催者側のネットワーク化を図るともに、多数の若者が参加者として集い、楽しめる場所を創出。

・都市再生特別措置法に基づく市町村指定の「都市再生推進法人」の第1号として、公的位置付けも付与されている。

3.住まい方に関する取り組み

◯都市機能や公共交通、コミュニティーの維持などに関する取り組み

■コンパクト・プラス・ネットワーク

・必要な都市機能や公共交通の維持・活性化による市民の生活利便性の向上を目指し、都市のコンパクト化と、まちづくりと連携した公共交通ネットワークの再構築を推進している。

◯子育て世代などのワークライフバランスを支える取り組み

■長期優良住宅化リフォーム推進事業

・質の高い住宅ストックの形成および子育てしやすい環境の整備のため、既存住宅の長寿命化や三世代同居の実現につながるリフォームを支援(特に40歳未満の若年層における活用を促そうとしている)

◯高齢者などが安心して生活できる住まいの整備に関する取り組み

■サービス付き高齢者向け住宅の普及促進(高齢者の住宅確保)

・単身高齢者や高齢者夫婦世帯が増えることを踏まえて、高齢者の居住の安定を確保するために、バリアフリー構造などを有し、医療・介護と連携し高齢者を支援するサービスを提供する「サービス付き高齢者向け住宅」の供給促進を実施(補助・税制・融資による支援など)。

◯人の交流が広がる住まい方を支援する取り組み

■全国の空き家・空き地の流通・利活用の促進

・地方移住・二地域居住を支援し、地域の活性化につながる空き家・空き地バンクを、全国版として情報の標準化・集約化を図り、地域の魅力紹介や災害などのハザード情報、学校・病院などの生活支援情報なども加えて提供し、空き家などの流通・利活用を促進。

■二地域居住の推進

・複数の生活拠点を持ちながら複数の地域と関わりを持つ二地域居住などの新たなライフスタイル、コミュニティーづくりを推進。

4.動き方に関する取り組み

◯公共交通の混雑、道路渋滞の緩和対策の取り組み

■ICTを活用した運行サービスの向上

・東急電鉄などは、列車の走行位置情報などのリアルタイム表示や車両ごとの混雑状況を発信するためのアプリを開発し、運行サービスの向上を目指している。

■道路を賢く使う取り組み

・料金制度の見直しやICTを活用した道路交通に関するビッグデータにより渋滞箇所を特定し、効果的なピンポイント渋滞対策など、道路における渋滞の緩和・解消を図ろうとしている。

◯地方での公共交通の維持・活性化への取り組み

・地方自治体や事業者の地域公共交通ネットワークの再構築を図る事業(LRT、BRTの整備運行、バス路線網の再編など)を推進するために必要な支援を実施。

◯地方での自動運転などによる移動手段の確保の取り組み

■ラストマイル自動運転による移動サービス

・2017年12月より順次、全国4カ所で公道実証を開始。

■中山間地域における道の駅などを拠点とした自動運転サービス

・2017年9月より順次、全国13カ所で実証実験を開始予定。

◯公共空間におけるバリアフリー化の進展

・今通常国会において、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会などに向けての対応として、公共交通事業者などによるハード・ソフト一体的な取り組みの推進やバリアフリーのまちづくりに向けた地域における取り組み強化などを行う法律改正を実施し、バリアフリー化をさらに推進させていく。

第2部 国土交通行政の動向(省略)