日本商工会議所はこのほど、8月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果と共に、東日本大震災以降の電力料金の上昇による経営への影響についてヒアリングした結果を発表した。
全国消費者物価指数(2015年=100)における電気代の指数は、11年2月が79・4、19年7月が101・9となっており、東日本大震災前と比べて、電気代は28・3%上昇している。こうした中、東日本大震災以降の電力料金の上昇による経営への影響について、「悪影響がある」と回答した企業は、前回(18年8月)調査比1・5ポイント減の24・3%、「今のところ影響はないが、震災前より高い状態が続けば悪影響が懸念される」は同0・5ポイント増の49・2%となり、「悪影響または懸念がある」と回答した企業は合計73・5%に上った。一方、「悪影響はない(今後もない見込み)」は同1・0ポイント増の26・5%となった。
電力料金の上昇が経営に「悪影響または懸念がある」と回答した企業は前回調査の74・5%から1・0ポイント減と大きな変化は見られず、依然として高い電力料金が経営への影響を与えているものとみられる。中小企業の声では「猛暑の影響により空調設備の増設を検討しているが、電気代の負担増が懸念される」といったコメントが寄せられるなど、電力料金の上昇に加え、今夏の猛暑が経営者にとって負担となっていることがうかがえる。
業種別に見ると、「悪影響または懸念がある」と回答した企業は、建設業で56・0%、製造業で84・5%、卸売業で72・1%、小売業で80・5%、サービス業で68・5%となった。「悪影響がある」に絞ると製造業が33・9%、小売業が33・5%で共に3割超となった。製造業と小売業で「悪影響がある」と答えた企業が全業種平均(24・3%)と比べて約9ポイント高くなっており、影響が大きいことが読み取れる。
今後も高い料金が続いた場合の対応は、「既存設備での節電の実施など人件費以外のコスト削減」が50・5%で最も多く、「省エネ性の高い設備(照明・自家発電設備などを含む)の導入・更新」(39・0%)、「料金の安い電力会社への変更」(37・4%)が後に続いた。
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