厚生労働省、中小企業庁、公正取引委員会はこのほど、「大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請け中小事業者への『しわ寄せ』防止のための総合対策」を策定した。大企業の働き方改革による中小企業へのしわ寄せを防ぐため、関係法令の周知広報や相談受け付け、法令違反の疑いがある事案への厳正な対応などを行う。
今年4月から施行されている「働き方改革関連法」により、時間外労働の上限規制や年次有給休暇の5日取得義務化などの対応が企業に求められている。そうした中、同対策では、「大企業などによる長時間労働の削減などの取り組みが、下請け中小事業者に対する適正なコスト負担を伴わない短納期発注、急な仕様変更、人員派遣の要請および付帯作業の要請などの『しわ寄せ』を生じさせることにより、下請け中小事業者の働き方改革の妨げとならないことが重要」と指摘。①関係法令などの周知広報、②都道府県労働局・労働基準監督署の窓口などにおける「しわ寄せ」情報の提供、③都道府県労働局・労働基準監督署による「しわ寄せ」防止に向けた要請・通報、④公正取引委員会・中小企業庁による指導および不当な行為事例の周知・広報──を四つの柱に中小企業へのしわ寄せ防止に取り組むとしている。
具体的には、都道府県労働局・労働基準監督署は、労働時間等設定改善法や下請中小企業振興法に基づく「振興基準」についてリーフレットなどを活用して周知するほか、「しわ寄せ防止キャンペーン月間」の設定による経営トップセミナーの開催などの集中的な取組みを行う。また、下請け中小事業者から、大企業・親事業者の働き方改革に伴う「しわ寄せ」に関する相談が寄せられた場合には、相談情報を地方経産局に情報提供する。
公正取引委員会と中小企業庁は、下請法などの違反の疑いのある「しわ寄せ」事案の情報に接した場合には、厳正に対応するとともに、実際に行った指導事例や不当な行為の事例の周知を行う。
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