穏やかに過ごせる空間づくりを
株式会社 どりーむ 代表取締役 小出 操
地域に根ざした事業を目指す
平成4年に62歳で父が他界しました。父の葬儀の日に喪主である母の様子の変化に気付き、すぐに大学病院で検査をした結果、若年性認知症の「ピック病」と診断されました。当時、若年性認知症に関する情報や対応施設が少ない中で介護に直面することになったのです。そのときに「家族の役割」と認知症になった母の思い(尊厳)を考えました。
それから3年後に母は亡くなりましたが、その後自分も「いつかは老いていく……もしかしたら認知症になるかもしれない」と思い、介護の勉強をしたい……家族ケアの勉強をしたいと思い資格をとりました。その後、社会福祉法人で事務を経験、民間事業者でグループホーム(埼玉県で民間第1号)やデイサービスの立ち上げなどの経験を積みました。
その結果、私は社会福祉法人ではなく、株式会社で健全な経営をしながら、地域に根ざした介護事業をやりたいとの強い思いを抱き創業したのです。社名は、いつでも「夢」を持って前進するという意味と日本人の優しい心を忘れずにとの思いで、ひらがなで「どりーむ」と名付けました。
デイサービスに特化し差別化
当社は、3施設のデイサービスセンターとサービス付高齢者住宅を展開しています。また、365日・24時間受け入れができる「ナイトケア」を受け皿としていますので地域の方々には必要とされているものと自負しています。
介護の必要性はいつ起こるかわかりません。そんなとき、緊急対応のみならず、どんなニーズにも対応できる施設がないと、お客さまそしてご家族も戸惑います。当社ではどの施設も同様の受け入れ体制を整え、ご家族の相談にのる「家族ケア」を実施しています。
複合施設とは違い当社では、自社で「サービスの囲い込み」が無いようにと創業当初から考えていました。そのため提供するサービスを「高齢者のデイサービス」のみに絞り、良質で安価なサービスで差別化を図っています。
また、居宅介護支援事業所・訪問介護事業所・訪問看護事業所との連携でデイサービスのお客さまを当社に紹介してもらっています。さらに病院とのコミュニケーションを大切にして、患者の退院後の利用や入居希望者との橋渡しもして頂いています。これは当社に看護師が10名勤務しており病院から信頼を得られているからです。
今後は、旧来の福祉の見方・考え方ではなく、サービス業として捉えた展開をしたいと思っています。高齢者が穏やかに過ごせる空間づくりを考えております。
現在も施設の中に「昭和通り」や「娯楽室」「カラオケ」などをつくり利用者には「日帰り温泉」のような気分でデイサービスをご利用いただいております。将来的におやつ・惣菜づくりができる「どりーむキッチン」や「どりーむレストラン」などを展開していきたいと考えており、どこにもない「どりーむ独自」のサービスを考え展開していきます。
会社データ
社名:株式会社 どりーむ
所在地:埼玉県児玉郡
創業:平成18年
事業概要:福祉事業(高齢者介護事業:デイサービスセンター、サービス付高齢者住宅・民泊)
※月刊石垣2016年3月号に掲載された記事です。
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