独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)は、2016年版「ジェトロ世界貿易投資報告」を公表した。2015年の日本の貿易収支は、5期連続で赤字となったものの、赤字幅には縮小傾向が見られた。
2015年の日本の貿易は輸出が前年比10・0%減の6251億ドル、輸入が20・7%減の6483億ドル、貿易収支は233億ドルの赤字となり、5年連続の赤字となったものの、赤字幅は2014年の1228億ドルから約1000億ドル縮小した。円ベースでは輸出は3.4%増の75兆6139億円、輸入が8.7%減の78兆4055億円。貿易赤字の縮小傾向は続いており、2016年上半期では170億ドルの黒字に戻している。
輸出では、米国(2.8%減の1259億ドル)が3年連続で最大の輸出相手国となった。一方、中国(14・0%減の1093億ドル)は経済の成長鈍化もあり、一般機械、電気機器、輸送機器など総じて縮小した。
日本の輸出は他の主要輸出国に比べて中間財、資本財の比率が高く8割に達する。2015年の日本の総輸出に対する財別寄与度を見ると、総輸出の縮小に対する中間財の寄与度がマイナス7.1%と最も大きく、その内、中国向け中間財の寄与度はマイナス1.8%と、主要国・地域で最大であった。
対外直接投資1千億ドル超続く
2015年の日本の対外直接投資は前年比4.1%減の1308億ドル(国際収支ベース、ネット、フロー)であった。前年を下回ったものの、2011年以降5年続けて1000億ドル台を突破した。主要国・地域別では、米国への投資額が449億ドル(前年比7.1%減)と、2010年以降6年連続で最大の投資先国となった。
アジアの中では、ASEAN向けが3年連続で200億ドル台を維持した。他方、中国向けは89億ドルにとどまり、2013年以降、ASEAN向けと比べ2倍程度の金額差が生じる状況が継続している。対中国投資を業種別に見ると、投資額は製造業、非製造業ともに2012年をピークに減少傾向にあるものの、構成比は2005年以降、非製造業の拡大が顕著である。
2015年度の日本企業の海外売上高比率は58・3%と拡大傾向が続く。地域別に見ると、米州の比率が25・9%と米国経済の回復による需要の拡大などで2012年度の18・6%から上昇傾向が続いている。
一段と高まるアジアの存在感
2015年の対日直接投資(国際収支ベース、フロー)の実行額(グロス)は1456億ドルであったが、ネットではマイナス4200万ドルであった。2016年1~5月は116億ドル(ネット)と増加に転じている。
地域別では、アジアからの投資が北米、欧州を上回り、存在感が一段と増している。2015年末の対日直接投資残高は24兆3843億円と前年末から増加した。対日直接投資残高に占めるアジアの構成比は2014年末の15・5%から2015年末は17・6%に上昇した。
アジアのコングロマリットやグローバル企業などが日本企業との協業により市場拡大を目指す例も増えている。また、サービス市場では参入する分野の多様化が進んでいる。
世界の対外直接投資を国・地域別に見ると、アジア(日本除く)の構成比拡大が近年著しい。アジアの構成比は2000年の6.5%から2015年に20・3%へ上昇した。
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