政府は4日、「第4回未来投資に向けた官民対話」を開催し、農林水産業や観光の活性化などについて議論した。会議に出席した日本商工会議所の三村明夫会頭は、「農林水産業と観光は地域活性化の切り札」と強調。新商品開発や販路開拓など商工会議所における農林水産業活性化の取り組みなどを紹介するとともに、今後も活動の促進を図っていく考えを示した。安倍晋三首相は、経済界と農業界の協力体制の構築を高く評価。今後の取り組み強化について期待を寄せた。
三村会頭は、JAをはじめ農林水産業団体の商工会議所への加入が増加している現状を説明。6次産業化や流通・加工業者との連携に積極的に取り組む農業者、商工業者双方のニーズにきめ細かく対応するため、ビジネスノウハウ・経営ノウハウの提供など、経営指導員のサポート機能のさらなる強化・拡大を各地商工会議所に呼び掛けていく考えを述べた。また、民間企業の経営ノウハウを農林水産業に生かすための規制・制度改革の加速と必要な支援も要望した。
観光振興については、2月に日商が取りまとめた「今後の観光振興策に関する意見」に盛り込まれている具体的な数値目標の設定、各地への旅行者の分散化などを、政府が策定する「明日の日本を支える観光ビジョン」へ反映するよう要請した。また、中小企業の生産性向上策について、ICTの活用が不可欠と指摘。人手不足やイニシャルコストの大きさから活用が進んでいないため、ICT活用に向けた対策の検討を求めた。
安倍首相は、農家の所得を増やすため、生産コストの引き下げと海外販路の開拓を後押ししていくことを表明。今秋までに、農機や肥料など生産資材の価格低減や農産品の流通構造の改革、新たな輸出戦略や輸出額の達成目標を取りまとめる考えを述べた。
また、地域の観光地づくりの投資を呼び込むため、官民ファンドなどを活用し、2020年までに全国100カ所でプロジェクトを実施する計画を示した。