日本商工会議所が各地商工会議所の協力の下に取り扱っている「業務災害補償プラン」の加入件数が、6万件を突破した。近年、労働災害は、業務上の事故によるけがだけでなく、うつ病などの精神疾患や脳・心臓疾患などの疾病型が増加。建設業や製造業だけでなく、多くの業種で使用者責任が問われており、労災の上乗せ補償と企業の損害賠償や訴訟対応などの経営リスクを担保する「業務災害補償プラン」が注目を集めている。
業務災害補償プランは、負傷型労災といわれる業務中のけがおよび労働災害の責任が企業にあると法律上判断された場合に発生する、企業の損害賠償責任(使用者賠償など)に対応する制度。過労死を巡る裁判では、企業や経営者の責任を明確にする判決が増加している。平成26年より「過労死等防止対策推進法」が施行されるなど、従業員の労務管理について、企業側の対応がこれまで以上に問われている。
政府労災のみの加入では十分な補償が受けられないことから、従業員への十分な補償はもとより、企業の経営安定化、人材確保の観点からも労災事故への備えが不可欠だ。このため、政府労災への上乗せ補償の必要性は極めて高く、また、事故が経営に及ぼす影響も大きい。
例えば、安全配慮義務違反を問われ、高額な賠償金を支払う事例も増加しており、賠償金の支払いが経営に影響を与えかねない。そのため、労災事故への十分な備えを確保し、経営の安定を図ることは重要である。
本プランの保険料は、補償内容が同じ一般保険に比べ約半額程度に設定。業種を問わず多くの事業者が加入できる。売上高を基に保険料を算出する仕組みであることから、加入に当たっては従業員数を保険会社に通知する手間がなく、パート・アルバイトが多い製造業・小売業には利便性が高い。また、役員を含め全従業員が自動的に補償対象となることから、中小・中堅や下請けを抱える建設業などで活用しやすい内容になっている。
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