政府はこのほど、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の国内対策などを盛り込んだ政策大綱を決定した。中小企業の海外展開支援策や農業の競争力強化などが対策の柱。TPPの効果を地方創生に直結させるための政策や、日本を「貿易・投資の国際中核拠点(グローバル・ハブ)」とする目標などが盛り込まれている。
安倍晋三首相は、TPPの早期署名、発効を目指す考えをあらためて示すとともに、大綱について、地方の中堅・中小企業の海外展開支援、攻めの農林水産業に転換するための対策などの必要性を強調。「TPPを真にわが国の経済再生や地方創生に直結させるために必要な政策、TPPに関する国民の不安を払しょくする政策と定量的な目標も示した」と述べ、政策の効果的な実施に取り組む考えを表明した。
大綱では、中堅・中小企業の輸出や海外進出の支援策を数多く打ち出した。TPP普及・啓発に向け、商工会議所、独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)などが連携して丁寧に情報提供を行うほか、地方自治体、商工会議所や金融機関などで構成する「新輸出大国コンソーシアム(仮称)」を創設。支援対象となる中堅・中小企業の60%以上が海外市場開拓や事業開拓に成功する目標を掲げた。
TPPを通じた強い経済の実現に向けては、2020年までにサービス産業の労働生産性上昇率を2%にするなどの目標を明記。18年度までに470社以上の海外企業の誘致を実現する。
攻めの農林水産業への転換に向けた対策も強化する。国際競争力を高め、20年に農林水産物や食品の輸出額を1兆円にする目標の前倒し達成を目指す。一方で、米などの重要5品目については、経営安定・安定供給のための「守り」の施策も盛り込んだ。
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