経済産業省はこのほど取りまとめた「2015年版通商白書」で、海外展開する日本企業について、「外で稼ぐ力」に課題があると指摘し、「グローバル経営力の強化が不可欠」だと分析している。また、近年の経常収支構造の変化に着目。「輸出する力」「呼び込む力」「外で稼ぐ力」の視点から対外経済政策の在り方を提示している。
白書では、日本と欧米、アジアのグローバル企業の動向を分析。2006年から13年までの、日系グローバル企業の売上高成長率、営業利益成長率、売上高営業利益率が他国のグローバル企業よりも低いことが明らかになった。
また、日本企業のホーム市場であるアジア大洋州地域市場における売上高成長率も他国企業より低く、三大市場の全てにおいて他国グローバル企業にシェアを奪われている点を指摘。世界のマーケットで伍していくために、事業分野の必要に応じた見直しとともに、「経営力を他国グローバル企業に劣らないスピードで発揮していくことが必要」との考えを示している。
「輸出する力」については、他国に比べて、伸びる可能性がある輸出増加傾向の品目の需要の獲得割合が小さいとの調査結果を示し、輸出財の高付加価値化と輸出数量の維持・拡大の両立が課題と指摘。「呼び込む力」については、14年の訪日外国人数、訪日外国人の消費金額がともに過去最高を記録したことに触れる一方、企業の呼び込みについては、イノベーションや英語でのビジネスコミュニケーションなどに問題があると分析している。
また、日系グローバル企業を伸ばしていくためには、立地環境を魅力あるものすることの重要性を強調。グローバル経営力強化のための政策が必要であると主張している。
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