中小企業庁はこのほど、海外事業の課題を克服するため事業再編に取り組んだ現地日系企業の事例を収集した「中小企業の海外事業再編事例集(事業の安定継続のために)」を取りまとめ、発表した。
事例集では、28事例を紹介するとともに、海外事業再編を行うに際して留意すべき事項を整理し、データに見る海外事業再編動向なども解説。海外において事業再編を行った経験を有する、または現在、事業再編を検討している中小企業の経営者からのメッセージに加え、国内外における事業再編に関する法制度、会計制度、実務などに知見のある専門家などからのアドバイスを掲載している。
海外事業再編に対応するための留意点については、「海外への進出前」「海外事業の運営上」「実際の事業再編時」の各時点別に整理。それぞれの時点で必要な準備などを分かりやすく示した。
進出前の段階では、「進出の動機を明確に」「パートナー選びは慎重に」「環境規制の強化に備える」「万が一の撤退や移転を想定した事業計画と費用の確保」の必要性を強調。運営上の留意点としては、「経営管理の徹底」「現地での人的ネットワーク構築」「人件費の高騰」「技術者の転職問題」などを示している。
実際に事業再編する際には、「スピード感のある意思決定」「撤退にかかる複数の選択肢を用意」「現地従業員への対応」「撤退後の商標権の取り扱い」などをアドバイス。特に「労務・税務問題」が最大の課題となることもあるとの見方を示している。
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