経済産業省はこのほど、食料品などの日常の買物が困難な状況に置かれている「買物弱者」の数が、5年前の調査から100万人増え、約700万人いるという推計結果を発表した。
日常の買い物が不便と感じている60歳以上の高齢者の割合は17・1%。既に顕在化している農村・山間部の過疎地域に加え、今後、大都市、ベッドタウン、地方都市などでも顕在化、深刻化することが懸念されている。
経産省では買物弱者の増加により、「引きこもりの増加と生きがいの喪失」「転倒・事故リスクの増大」「低栄養に伴う医療費や介護費の増加」「公共インフラ維持コストの増加」「商店街の衰退による清掃や景観維持の難化・治安悪化」につながる可能性があることなどを指摘。また、新しく買物弱者対策を始める際に、住民・事業者・行政がどのように現状を整理し、関係者との合意形成を行っていくかについてのモデル事例を紹介するとともに、海外の取り組み事例の調査結果も公表した。
さらに、全国で優れた買物弱者対策事業を行う22事業者へのヒアリング調査も実施し、その成功の秘訣や課題解決の方法をまとめた「買物弱者応援マニュアル」の改訂版も作成。買物弱者支援事業を実施するに際して、障害となっている制度の見直しや物流効率化など地域の住民・事業者・行政などが一体となった対策の在り方も提言している。
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