今回は容器包装リサイクル法(以下、容リ法)に関する環境変化と最近の話題について触れていきます。4素材それぞれに変遷がありますが、プラスチック製容器包装(以下、プラ容器)とペットボトルを取り上げます。
総コストの9割超占めるプラ容器
再商品化事業者は審査を経てあらかじめ登録された事業者の中から入札により選定します。プラ容器の場合は、粉砕・洗浄により再生材料を得る材料リサイクルと化学的処理によるケミカルリサイクルの2手法が認められています。熱回収は原則的に認められていません。また、材料リサイクル優先の入札を続けているという特徴があります。
プラ容器の再商品化実施委託料は総コストの9割超を占めています。平成28年度より市町村からの引取量が少なかった18年度の約456億円をピークとして低下していますが、近年も300億円台で推移しています。
そのため、指定法人では再商品事業者の作業コスト軽減と再商品化製品の売価向上につながる分別基準適合物(市町村から引き取る容器包装ごみ)の品質向上や、入札における上限価格設定などにより再商品化コストの低減に努めてきました。落札価格は22年度から28年度まで7年間にわたって低減傾向にありました。
しかし、国の方針を受けて「優良な事業者」のポテンシャルを伸ばすとして昨年実施された入札制度の変更があり、29年度の落札価格は上昇する結果となりました。
中国輸出停止で国内供給増加
ペットボトルのリサイクルが始まった9年度、再商品化費用の落札単価は逆有償(処理費用を支払わなければ処理できない)の7万3429円/トンでしたが、18年度に有償物に転じ、28年度上期には有償の4万1843円/トンと市場価値のある資源物として定着しています。
また、当初は市町村が回収する使用済みペットボトルの量に対して、再商品化事業者の処理能力が不足していましたが、14年度以降、解消されています。国や業界の支援もあり技術開発や設備投資が進んだことに加え、中国の経済成長に伴い使用済みペットボトルが大量に中国に輸出されるようになったためです。
日本から中国向けに輸出されるペットボトル廃棄物が約24万トンともいわれる中で、本年7月、中国政府は年内に環境汚染度の高い個体廃棄物の輸入を全面禁止する施策を発表しました。中国輸出が全面的に禁止されれば、国内循環する使用済みペットボトルの量が増加し、処理能力が不足する可能性もあります。
環境変化に対応
日本容器包装リサイクル協会ではこうした内外の環境変化に対応するため、施行後20年を経過した制度の見直し検討などを進めています。
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容リ法を円滑に運用し社会的コストの低減を進めていくためには、消費者や企業の理解が必要です。日本容器包装リサイクル協会では、日本商工会議所・各地商工会議所との共催で、再商品化委託申込期間の開始に合わせて全国約20カ所で容器包装リサイクル制度説明会・個別相談会を開催し、制度概要や事務手続きについて説明しています。お近くで開催される際にはぜひお申し込みください。
(青山直樹・公益財団法人日本容器包装リサイクル協会企画広報部)
=おわり
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