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こんなときどうする会社の法律Q&A [今月のテーマ]計算書類・事業報告の閲覧・謄本の請求(上)

Q 債権者から、特に理由も示さず、過去5年間の計算書類・事業報告およびこれらの附属明細書について、その閲覧と謄本交付の請求を受けたのですが、当社は、債権者の請求を拒むことができないのでしょうか。

A 貴社は、計算書類・事業報告およびこれらの附属明細書について、株主・債権者から請求があれば、営業時間内はいつでも閲覧・謄本交付に応じる義務があります。

閲覧・謄本交付に応じる義務

貴社は、過去5年間(正確には、5年前の応当日以降に備置義務が開始された事業年度に係るもの)の計算書類・事業報告およびこれらの附属明細書について、株主・債権者から請求があれば、営業時間内はいつでも閲覧・謄本交付に応じる義務があります。

株主・債権者の閲覧などの請求に理由は必要なく、貴社は、基本的に請求を拒絶することはできません。

計算書類・事業報告の備置

株式会社の場合は、下表の通り、計算書類等を本店・支店に備え置く義務があります(会社法〈以下「法」といいます。〉442条1項、2項)。

計算書類・事業報告の閲覧・謄本の請求

株主・債権者は、株式会社の営業時間内はいつでも計算書類など(上記の備置義務の対象となる書類をいいます。以下同じ)について、次の①~④の請求を行うことができます(法442条3項、法施行規則222条、226条)。株主・債権者が②または④ の請求をするときには、株式会社が定めた費用を支払わなければなりません。

①書面またはその写しの閲覧

②謄本または抄本の交付

③電磁的記録に記録された情報の閲覧(紙面・映像面に表示する方法)

④電磁的記録に記録された情報の提供(書面の交付または電子メール送信・ウェブサイト掲示・記録媒体の交付等で株式会社が定めた方法)

請求の拒絶について

株式会社は、請求のときにおける株主(株主名簿上の株主)・債権者から、営業時間内に口頭または書面により計算書類等の閲覧等の請求があれば、(②または④の請求につき費用の支払いがない場合を除き)拒絶することができません。また、株主・債権者が請求するにあたって、理由を明らかにする必要はありません。株式会社が株主・債権者の請求を拒絶した場合、株主・債権者が裁判所に対して計算書類等の閲覧等の請求の訴えを提起することが考えられます。

会社法442条に違反して計算書類等の備置きをせず、または正当な事由なくして閲覧等の請求を拒絶した取締役・執行役には、過料の制裁があります(法976条4号、8号)。

次回では、閲覧対象、計算書類の附属明細書や事業報告およびその附属明細書を作成していない場合について解説します。 (弁護士・公認会計士 片山 智裕)

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