日本商工会議所はこのほど、6月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果と共に、2020年度の所定内賃金(正社員)の動向に関する調査の結果を発表した。
20年度に所定内賃金の引き上げを実施した企業(予定含む)は38・0%と19年6月調査から18・7ポイント減少した。「賃金の引き上げは行わない」は46・7%と24・2ポイント増加という結果になった。
賃上げを実施した企業(予定含む)の内訳では、「業績が改善しているため賃上げを実施(前向きな賃上げ)」が7・6%で12・8ポイント減り、「業績の改善が見られないが賃上げを実施(防衛的な賃上げ)」が30・4%で5・9ポイント減少した。前向きな賃上げ、防衛的な賃上げはともに19年6月調査と比べて全業種で減少している。
一方、賃金の引き上げを行わない企業の内訳は、「同水準を維持」が43・7%、「引き下げ」が3・0%だった。
新型コロナウイルスの影響に伴い、賃上げを実施する企業は約2割減と前年から大幅に減少し、その約8割を防衛的な賃上げが占めるなど、中小企業の厳しい経営実態がうかがえる。また、引き上げを行わない企業においても、厳しい経営環境の中、そのほとんどが従業員の賃金水準の維持に努めている実態が明らかになった。