地域ポイントカード「めぐりん」を参考に日本YEGで実証実験を開始
ポイント・マイレージの年間発行額は、2020年度に1兆円を突破する(※注釈)と予測されている。拡大を続けるポイントカードの中でも高い地域流通率を誇る香川県の「めぐりん」。日本YEGはこのカードのシステムをモデルに、オリジナルカードの全国展開を検討している。
地域にとって、「商店街」と「大型店舗」は対立した競合関係に思えるかもしれない。しかし、協力関係を築くことで結果として地域に大きな利益を生むこともある。好事例のひとつが香川県に存在する。そのツールとなったのが、地域ポイントカード「めぐりん」。現在、日本YEGでもこのシステムを実験的に取り入れ、スムーズな運営を目指している。
カードだらけで財布がかさ張る
地域ポイントカード「めぐりん」の生みの親である善生賢二氏(高松YEG)。彼は、開発のきっかけをこう語る。
「ポイントサービスはどんどん増えています。それに比例して私の財布もどんどんかさ張っていきました。とにかく財布の中をすっきりとさせたいと思ったのが開発のきっかけです。そこで、あらゆるお店のポイントがすべて共通だったら、ポイントもためやすいし、財布の中身もすっきりすると考えたのです」
さらに善生氏は、ベースを大型店舗のICカードにすることで、地域活性化につながると考えた。
「個々の事業者が独自に頑張っていくだけでは、地域の活性化は図れない状況にあります。だから、個々のサービスをうまく生かしながら、大型店舗の利点を有機的に結び付けていく必要があるのです」
そこで、大型店舗のICカードをベースに、地域で使用できるポイントも一緒にためたり使えたりする共通のオリジナルカードを開発。「相互送客」を実現した。
地産地消のポイント
一般的にポイントといえば、買い物をした支払金額に対してポイントがもらえる(例:100円につき1ポイント)という仕組みだ。しかし「めぐりん」のポイントは、買い物以外でも、地域活動に参加すると「地域共通のコミュニティーポイント」がもらえるというのが最大の特徴。例えば、商店街の清掃活動に参加するとポイントが付与されたり、行政の健康事業に参加して、歩いた歩数に対してポイントが付与されたりと、自治活動や地域の活動に参加することでもポイントをためられる。
また、地域でたまったポイントは地域に還元されるという地産地消のポイントとなっている。これこそが、「めぐりん」をはじめとする地域ポイントカードの魅力で、ひいては地域活性化の鍵も握っている。
「これまで、民間事業者との連携を中心にポイントカード事業を展開してきましたが、今後は、ライフライン事業者(ガス、電気など)や行政サービスとの連携を強化し、真の地域ポイントを目指していきます。そして、本事業の手順やコンセプトが全国の地域活性化の一助を担えるようになればと思います」
日本YEGでも実証実験
日本YEGは年々メンバーが増加しており、同時に、YEGの諸会議や大会などを行う際の受け付け人員のコストや参加費徴収の事務作業量などもアップ。その解決が急務となっている。4月に発表された日商の「中小企業のIoT推進に関する意見」でも、「わが国の中小企業においても人手不足や販路拡大、長時間労働などのさまざまな経営課題に対応するため、IoTをはじめとする、新しいIT技術の導入・活用により、経営力強化・生産性向上に積極的に取り組むことが課題」とされており、中小企業でのIT活用を後押しすることが求められている。
そこで、日本YEGでも「めぐりん」の仕組みを活用し、出欠確認と参加費の決裁を同時に行うことができる「YEGカード」を試験的に導入。実証実験を開始した。また、単にコスト課題を解決するだけでなく、YEGメンバー(OB含む)だけが出店できるインターネットモール「YEGモール」のポイントと今後連動させることなどで、ビッグデータによる消費者行動を分析。メンバー企業の販路開拓支援や地域経済への還元を目指す。
日本YEGでは引き続き、「YEGカード」の実証実験を促進。キャッシュレス決済の普及やITを活用した新サービスの創出などに寄与していく。
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