春日井商工会議所(愛知県)は8月30日、中小企業の創業などを支援する「齊藤中小企業応援ファンド」の設立を発表した。同ファンドは、春日井市内に本社があり、同所の会員である中小・小規模事業者が対象。投資額は1社当たり累計1000万円以内だ。長期の安定資金供給による投資先の継続的成長支援や、経営相談・販路拡大支援を通じた企業価値の向上などにより、同市の魅力向上、地方創生・地域活性化の後押しを目指す。
「齊藤中小企業応援ファンド」は、同所元会頭の齊藤丹次氏が「春日井市内の商工業発展のために」と寄付した5000万円を活用し設立された。当初は、同寄付金の運用利息を利用して事業者に対して補助金を出していたが、より継続的に事業者を支援することなどを目指し、同所創立50周年記念事業の一環としてファンド設立に踏み切った。
同ファンドの投資対象は、「新規創業者」だ。新たに起業を目指す人や創業後5年未満の事業者が対象となる。また、既存事業者の後継者などが業態転換や新規事業に進出する「第二創業者」や、既存事業者が新たに新規性、革新性のある事業に取り組む場合も対象とする。
投資を受けるには、基本的には金融機関から融資を受けていることが条件。ただし、審査会が認めた場合は、金融機関から融資を受けていなくても同ファンドが投資を行う。投資の形態は株式を中心とし、社債・新株予約権・新株予約権付社債なども活用する。
投資先の選考は、税理士や中小企業診断士、学識経験者、金融機関、同所役員などで構成する審査会で行う。審査会では「新規性」や「ベンチャー性」「収益性」「成長性」などの観点から選考する。
投資先事業者に対しては、年に1回、投資先、金融機関、同所、専門家などで構成する育成会議を開催し、投資の効果を検証の上、継続的な伴走型支援を行う。
商工会議所が主体となってファンドを立ち上げ事業者に対して支援を行うのは、全国の商工会議所で初めてである。2日から第1次募集を開始しており、今月末まで受け付ける。11月下旬には第1次投資先を決定する予定だ。
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