三次商工会議所(広島県)は2日、高齢者世帯などに対する買い物支援サービス事業「おつかいピオネット」の実証実験を開始した。同事業は、ケーブルテレビの仕組みを利用して、テレビ画面で近隣のスーパーの商品を注文し、自宅で受け取れるサービスだ。同所や三次ケーブルビジョン、三次フードセンター、三次市などが協力して実施。テレビ画面やリモコンの操作性、商品内容の充実度などを検証の上、本格導入すべきか検討する。
三次市では高齢者世帯の割合が高まっており、それに伴う問題も生じてきている。三次商工会議所が平成27年に実施した「高齢者の買物動向に関するアンケート調査」によると、高齢者や、自由に買い物に出歩くことが難しい「買い物弱者」に対するサービスが必要であることが分かった。そこで同所や、同所が出資する三次ケーブルビジョンなどが中心となり、自宅のテレビ画面で食料品や日用品などを購入できるサービスの導入を検討してきた。
今回の実証実験では、三次ケーブルビジョンに加入しており、かつ契約者が65歳以上の45世帯でモニターを実施。来年2月末まで実証実験を行う。
モニター世帯は、テレビ画面で写真付きの商品を確認の上、リモコンで商品を選択し購入する。上下左右キーや決定ボタンなど、極力少ない操作で注文できるように工夫されている。
注文データが地元のスーパーである三次フードセンター三次店に届き、毎週火曜日と金曜日の2回、モニター宅に商品がまとめて届けられる。代金の回収は、商品の配達時に行う仕組みだ。今回の実証実験では、商品内容などに加え、販売店の受注・配送の手間と利益性、事業地域拡大の可能性、「見守りシステム」とのセット化による福祉面での可能性なども検証している。
モニターになっている人の中には、運転免許を持たない一人暮らしの高齢者もいる。そのようなモニターからは、「足や腰が痛く思うように外出できない日に、自宅で買い物できると助かる」といった声が上がっている。
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