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私的年金改正のポイント 第1回 高齢期の就労拡大反映

【DCの加入可能年齢の引き上げと受給開始時期の選択肢の拡大】 現行は60~70歳の間で受給可(70歳→75歳)

前回までの年金制度改正(公的年金)に引き続き、2回にわたって私的年金の改正内容を確認する。

わが国の年金制度は、国民年金、厚生年金といった公的年金が制度の1階部分および2階部分を担う。そして、確定給付企業年金(DB)や企業型確定拠出年金(企業型DC)など企業年金と、個人型確定拠出年金(iDeCo)、国民年金基金といった個人年金が3階部分を担っている。

今回の改正では、公的年金の改正と併せて、企業年金・個人年金といった私的年金についても改革が行われた。今後は、「より多くの人が、これまでよりも長く多様な形で働く社会」「高齢期が長期化する社会」へと変化することが見込まれる。高齢期の就労の拡大を制度に反映し、長期化する高齢期の経済基盤を充実できるよう、確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)の加入可能要件を見直して加入可能年齢を引き上げるとともに、受給開始時期などの選択肢を拡大する(図表参照)。

企業型DC加入可能要件の見直し

企業が従業員のために実施する退職給付制度である企業型DCについては、高年齢者雇用安定法に定める高年齢者雇用確保措置の義務年齢などを踏まえ、現行は厚生年金被保険者のうち65歳未満の者を加入者とすることができる。ただし、60歳以降は、60歳前と同一事業所で継続して使用される者に限られている。

今回の見直しでは、企業型DCについて、企業の高齢者雇用の状況に応じたより柔軟な制度運営を可能とするため、厚生年金被保険者(70歳未満)であれば加入者とすることができるようにする。【2022年5月1日に施行】

個人型DC(iDeCo)の加入可能要件は

iDeCoについては、16年改正で、17年1月、企業年金のある国民年金第2号被保険者と国民年金第3号被保険者まで加入可能範囲が拡大され、被保険者種別にかかわらず国民年金被保険者を包括する制度となった。

現行は国民年金被保険者の資格を有していることに加えて60歳未満という要件があるため、国民年金第2号被保険者や国民年金の任意加入被保険者であって60歳以上の者はiDeCoに加入できない。

今回の見直しでは、iDeCoについて、高齢期の就労が拡大していることを踏まえ、国民年金被保険者であれば加入可能とする。【22年5月1日に施行】

DC受給開始時期の選択肢拡大

確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)については、現行は60歳から70歳の間で各個人において受給開始時期を選択できるが、今回の見直しでは、公的年金の受給開始時期の選択肢の拡大に併せて、上限年齢を75歳に引き上げる。【22年4月1日に施行】

このほか、DBの支給開始時期の設定可能範囲を現行60歳から65歳のところを70歳に拡大する。より長く働く人が加入しやすくなり、受給開始時期の選択肢が広がることで、多様な老後生活に対応できるようになる。

(厚生労働省 年金局企業年金・個人年金課)

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