日本商工会議所は4月27日、4月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。調査期間は4月12~18日。全国420商工会議所が3941企業にヒアリングした。
4月の全産業合計の業況DIは、マイナス11・5で前月からプラス4・3ポイントとなり、2カ月連続の改善。電子部品や産業用機械関連を中心に製造業が全体をけん引したほか、インバウンドを含む春の観光需要を取り込んだ宿泊業・飲食業やレジャー関連業を中心とするサービス業の業況が改善した。深刻な人手不足や原材料費・燃料費の上昇、食料品・日用品に対する消費者の低価格志向を指摘する声は依然として多いものの、中小企業の景況感は総じて緩やかな回復基調が続いている。
ヒアリングした企業からは、「工場や倉庫の建設など、製造業からの発注が多く、売り上げは改善。今後も案件増を期待できるため、今年度は建設機械・車両などの設備投資を検討している」(一般工事)、「インバウンド需要の増加により、業況は堅調。さらなる需要取り込みを目的に、Wi‐Fi環境の整備や館内表示の外国語対応など、新規設備投資を検討している」(宿泊)といった前向きな声が聞かれた一方、「鉄鋼やアルミなど原材料の高値が続き、採算の確保に苦戦している。わが国にも、米国による保護主義的な関税措置が適用されたため、今後、業績の悪化が懸念される」(金属製品製造)、「パート・アルバイトの採用難が続いているため、時給を引き上げざるを得ない。飲食料品の仕入価格や電気代の上昇も相まって、採算悪化となった」(スーパーマーケット)といった不安の声も寄せられた。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス14・2(4月比マイナス2・7ポイント)と悪化を見込むものの、「好転」から「不変」への変化が主因であり、実体はほぼ横ばい。個人消費の持ち直しやゴールデンウィークに伴う観光需要拡大、生産や設備投資の堅調な推移への期待感がうかがえる。他方、人手不足の影響の深刻化や、原材料費・燃料費の上昇、コスト増加分の価格転嫁の遅れ、米国の保護主義的な関税措置の影響など世界経済・貿易に対する先行き不透明感を懸念する声も多く、中小企業の業況感はほぼ横ばいで推移する見通しとなっている。
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