Ⅰ.基本認識
1.人口・労働力の減少と中小企業のIT活用
○中小企業の最大の経営課題は人手不足。IT・IoT、ロボットなどの導入で生産性向上を図ることが不可欠
○中小企業のIT活用は進んでいない。ワード・エクセルで6割、給与・会計などで3~4割、仕入れ・販売・受発注管理ではわずか1~2割
○新しいITサービスであるクラウドサービスは、サーバーなどの所有が不要で更新・改修の追加負担がなく、初期導入コストも低いため利用しやすい。複数のクラウドサービスを連携活用すれば、さらに大きな効率化のメリット。中小企業は積極的に活用すべき
○さらに近年、IT技術が飛躍的に進展。IoT、ビッグデータ、AIなど。第4次産業革命・コネクテッドインダストリーズに官民で取り組み、経済成長に大きく寄与
2.商工会議所は中小企業のIT活用を推進
○日本商工会議所は「IoT活用専門委員会」を設置し、全国515商工会議所の取り組みを後押し。各地商工会議所では中小企業のIT・IoT活用推進に向けた取り組みが広がる。長崎県の松浦商工会議所などがクラウドベンダーと提携し、フィンテックによる会員企業の会計などバックオフィス業務の効率化を支援。青梅商工会議所などは会員企業のIoT活用ネットワークづくりに取り組む
○わが国産業の国際競争力の強化に向けて、先端技術分野の開発と併せ、産業構造の多数を占める中小企業のIT活用による生産性向上が不可欠
3.政府は中小企業のIT活用にさらなる支援を
○未来投資戦略で、健康寿命の延伸、自動走行、スマート工場、i‐Construction、フィンテックなど、ソサエティー5・0実現に向けたメッセージ。中小企業分野でもIT・IoT活用を支援するさまざまな施策がこの1年で抜本的に強化
○中小企業は業種・業態・規模などが多様でIT・IoT活用の取り組みはさまざま。商工会議所は政府と緊密に連携して中小企業のIT・IoT活用の後押しに取り組む。政府は長期的・具体的かつ、きめ細かな支援を
Ⅱ.意見
1.IT活用について中小企業の気付きを促す政策の継続
○「IT専門家の中小企業1万社への派遣」の継続実施
○「IT普及セミナー」の継続および動画提供。地方開催時の政府要人によるコミットメントとインターネット発信
○「IT導入補助金」の平成30年度当初予算化。優良なクラウドベンダーを選択できる仕組みの構築
○「経営指導員のITコーディネータ資格取得」の費用補助の創設
2.「次世代企業間データ連携」(共通EDI連携)の推進
○愛知県の豊田商工会議所、碧南商工会議所を始め6地域と6業界が共通EDI連携の実証に取り組み中。中小企業の利用普及に向け、「EDI利用料・導入費用への支援の創設」「発注元が共通EDIに接続するためのシステム改修への支援」「実証事業の後継事業による新たなプロジェクト・テーマの支援」が必要
○受発注EDIとXML電文・金融EDIとの連携に期待
3.第4次産業革命・コネクテッドインダストリーズへの対応
○IoT機器やロボット、「身の丈IoT」導入ツールなどの「体験スペース」の設置およびIoT導入先進企業への視察会の実施
○IoTやロボット・AIなどの機器・技術の購入・利用に対する補助制度の創設。IT導入補助金、持続化補助金、ものづくり補助金、サポイン事業など既存制度の拡充
○IT・データ活用人材の育成に向けた教育訓練講座の創設
○データ・ノウハウの流出やセキュリティー確保の懸念を払拭(ふっしょく)する広報・相談対応(7月20日)
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