日本商工会議所は5月31日、5月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。調査期間は5月16~22日。全国422商工会議所が3722企業にヒアリングした。
5月の全産業合計の業況DIは、マイナス13・6と、前月からマイナス2・1ポイントの悪化。ただし、「好転」から「不変」への変化が主因であり実体はほぼ横ばい。燃料費・原材料費の上昇が広く業況の押し下げ要因となったほか、深刻な人手不足や、食料品・日用品に対する消費者の低価格志向を指摘する声が多く聞かれた。他方、堅調な電子部品や産業用機械関連に加え、インバウンドを含めた観光需要は底堅く推移している。中小企業の景況感は、総じて緩やかな回復基調が続いているものの、足元で一服感が見られる。
ヒアリングした企業からは、「公共工事の発注量が少なく、価格競争が厳しいことに加え、人件費や建設資材価格、燃料費などの上昇も相まって、採算悪化となった」(土木工事)、「水産物などの原材料価格や燃料費、運送費の上昇が収益を圧迫しているものの、消費者の節約志向から、販売先の小売業からの引き合いが鈍いため、価格転嫁に踏み切れない」(食料品製造)といった声が聞かれた。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス15・4(5月比マイナス1・8ポイント)と悪化を見込むものの、「好転」から「不変」への変化が主因であり、実体はほぼ横ばい。個人消費の持ち直しやインバウンドを含めた観光需要拡大、生産や設備投資の堅調な推移への期待感がうかがえる。他方、人手不足の影響の深刻化や、燃料費・原材料費の上昇、コスト増加分の価格転嫁遅れを懸念する声も多く寄せられており、中小企業の業況感はほぼ横ばいで推移する見通しだ。
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